半導体事業(イメージング&センシング・ソリューション分野)の売上高は500億円増の1兆1000億円、営業利益は550億円増の1360億円とした。昨年、米中摩擦の激化でファーウェイのモバイル機器向けのセンサーの出荷を一時中止したことから、売り上げが落ち込んだ。しかし、出荷は再開され、ファーウェイ以外の顧客からの引き合いも活発だ。
デジカメやスマートフォンの電機事業(エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野)の売上高は200億円増の1兆8900億円、営業利益は580億円増の1250億円となりそうだ。金融分野も生命保険の特別勘定における運用益増で金融ビジネス収入を1400億円上乗せし1兆6000億円、営業利益は150億円増の1700億円に増額した。
ソニーとパナソニックは宿命のライバルだったが、近年、業績は、はっきり明暗を分けた。ソニーが明、パナが暗である。ソニーの時価総額は過去最高の14兆円を更新したが、パナソニックのそれは3.4兆円。4倍超の開きができてしまった。
リーマンショックで両社とも巨額な赤字を抱え、水面下に沈んだ。パナソニックはプラズマテレビからの撤退などの構造改革を進めて巨額赤字から脱却を果たした。だが、その後は低迷が続くデジタル家電事業を引きずり、電気自動車(EV)向けの電池でも大口顧客の米テスラに振り回されている。
ソニーは4月に社名を「ソニーグループ」に変更し、エレキ中心だった組織体制を刷新する。22年3月期から始まる新たな中期経営計画でどのような施策を打ち出すかが、今後を占うカギとなる。ゲームを中心とするエンタメ事業への依存を強めており、コアとなる新たな事業の育成が急務だ。
(文=編集部)