大手不動産の三菱地所レジデンスは、ザ・パークハウスの分譲マンションのほか、「ザ・パークハビオ ソーホー」ブランドの賃貸マンションの展開をスタートさせました。その第一弾が『ザ・パークハビオ ソーホー 大手町』(東京都千代田区)で、2020年9月に着工、2022年6月竣工の予定です。
JR山手線などの神田駅徒歩5分、東京メトロ丸の内線などの大手町駅徒歩7分という利便性の高いエリアにあり、丸の内や大手町に勤務する会社員を想定して、建物内にコワーキングスペースを設置しているのが最大の特徴です。
居室内にワークスペースを設けることもできなくはありませんが、自宅にこもりきりでは、オン/オフの切替えがうまくいかず、ストレスがたまる可能性があります。その点、建物内のコワーキングスペースであれば、切替えしやすいとともに、通勤電車の密も避けることができます。
また、このコワーキングスペースは居住者以外も利用できるスペースとしています。ウィズコロナで居住者が利用するだけではなく、ポストコロナになっても幅広く地域に開放して、エリアの賑わいに寄与したいといった狙いもあるようです。
分譲マンションではエントランス、エレベーターなどでの非接触キーを採用するケースが増え、最近では顔認証システムを取り入れるケースも増加しています。新型コロナウイルス感染症対策という点だけではなく、防災・防犯という点でも効果が大きいといわれています。
賃貸住宅は導入が遅れていましたが、入居者の入れ替わりが多く、さまざまな人が出入りする賃貸住宅こそ、こうした非接触システムが必要ではないかという見方もあります。
そこで、比較的家賃の高い賃貸マンションに限られるとはいえ、ジワジワと導入が進みつつあります。たとえば、クレイシアIDY(アイズ)シリーズの賃貸マンションを推進するプロパティエージェントでは、『クレイシアIDY(アイズ)学芸大学』(東京都目黒区)で顔認証システムを導入しました。東急東横線の学芸大学駅徒歩9分で、各部屋とも25平方メートル台の1Kタイプになっています。
顔認証システムが採用されているので、顔認証端末であるモニターに顔をかざすだけで、エントラスのドアを開け、メールボックスや宅配ボックスから荷物などを取り出し、エレベーターを呼び出して、各住戸への入室が可能になります。
同様の顔認証システムは、東急不動産の『東京ポートシティ竹芝レジデンスタワー』(東京都港区)でも採用されています。JR山手線などの浜松町駅徒歩7分の、大規模再開発プロジェクトの中核となるタワーで、一般の賃貸住宅138戸、シェアハウス44戸からなる大規模物件です。
顔認証システムでは、イラストにあるように、画像認識によってエントランスのドアを開錠し、エレベーターを呼び出すことができます。ハンズフリーなので、大きな荷物があったり、小さな子ども連れでも安心して入館できます。また、メールボックスと一体となった宅配ボックスにも顔認証システムが採用されており、非接触で安全・安心に郵便物や荷物を取り出せます。
さらに、住戸の鍵やエントランスのキーにスマートロックシステムを採用しており、スマホで鍵の開錠も可能で、安全・安心のライフスタイルを実現できます。比較的家賃の高い物件が中心とはいえ、賃貸マンションでもさまざまなレベルでコロナ対策が進んでいるようです。
(文=山下和之/住宅ジャーナリスト)
●山下和之/住宅ジャーナリスト
1952年生まれ。住宅・不動産分野を中心に、新聞・雑誌・単行本・ポータルサイトの取材・原稿制作のほか、各種講演・メディア出演など広範に活動。主な著書に『よくわかる不動産業界』『家を買う。その前に知っておきたいこと』(以上日本実業出版社)、『マイホーム購入トクする資金プランと税金対策』(執筆監修・学研プラス)などがある。