安定の美味しさを提供しつつ、こんな商品があるんだ、と常に驚いてもらえるような商品ラインナップになっているんです。もちろん定番商品だけではなく、季節限定・期間限定商品を取り入れたり、品揃えやディスプレイを変更したりするなどして、常に驚きを提供し続けているのです」(重盛氏)
また、シャトレーゼにはいち早く取り組んでいたある対応があり、その企業姿勢も人気拡大のターニングポイントになっていたそうだ。
「アレルギー対応商品の展開です。今でこそアレルギー対応のスイーツは広く浸透していますが、業界内で早めにアレルギー対応の商品に取り組んだことは、シャトレーゼという存在を多くの人に知ってもらう一つのきっかけになっていたと記憶しています。アレルギーをお持ちの方にも美味しいスイーツを食べて満足してもらいたいという企業姿勢が、商品を通して多くのお客様に伝わり、きちんとした取り組みしているスイーツチェーンなんだと感じてもらえるブランディングになったのでしょう」(重盛氏)
ここで気になるのはコンビニのスイーツ人気。近年はコンビニスイーツのクオリティが高まっているため、シャトレーゼも競合として意識しているのではないだろうか。
「シャトレーゼがコンビニスイーツを敵視しているということは、特にないと思います。前提として、年代・性別問わず来店するコンビニとは違い、シャトレーゼは主婦層や家族層がメインで、コアとしているターゲットが違うでしょうし、コンビニはスイーツをメインに売っている店舗ではないため、さほどシャトレーゼとは競合していないと思います。
そして、コンビニとは販売戦略も異なっています。コンビニは数多くの商品が展開されていますが、商品の入れ替わりも激しく、売れ行きがよくないと1週間後にはなくなっていることも珍しくありません。補充が必要な商品を機械やデータを通して管理し、売れ筋の商品のみを主にピックアップして販売しているんでしょう。
一方でシャトレーゼは、売れ筋の商品や来店するお客様がどの商品を好んでいるかを、その店舗の従業員たちが直接見て把握しようという姿勢が見受けられます。コンビニとは違い、商品の入れ替わりも激しくないようですし、実際に手軽な価格帯のものが常に数多く置いてあるので、こうした販売戦略が多くのお客様に受け入れられているのでしょう」(重盛氏)
シャトレーゼは一昨年9月に、前述の都心型新ブランドYATSUDOKIの1号店を銀座にオープンし、昨年の11月6日にはpremium YATSUDOKIを阪急御影駅前にオープンした。重盛氏いわく、「YATSUDOKIはオフィスに需要があると想定し品数を絞って展開しているブランドで、新規の顧客も取り込むことができる優れた戦略」だという。安定した美味しさと低価格で築いた盤石な人気を土台に、さらなる発展を目指していくという気概を感じさせるビジネス展開である。
(文・取材=OIK志野/A4studio)