ANA、ローカル線を中心に運航するANAウイングス、羽田空港の地上業務を担っているANAエアポートサービス3社を対象にボランティアを募集したところ、120人の募集に対して800人を超える応募があったという。パイロットやCA(客室乗務員)、地上係員や運航管理を行うフライトオペレーションスタッフ、間接部門の本社スタッフなど幅広い職種の人が参加できるよう、部門ごとのバランスに配慮した。
ANAグループはトライキッツ(東京都大田区)が製作する医療用フェイスガードについても、ボランティアが製作に協力した。ガウンは6月末まで、フェイスガードは5月21日まで、それぞれ作業を行った。
ANAHDは成田、羽田空港に所属するCA約8000人を対象に、勤務日数や居住地を選べる新たな働き方を労働組合に提案した。国内線、国際線に両方搭乗する現在の働き方のほか、勤務日数を従来の半分にして国内線だけにするタイプ、勤務日数を同5~8割とし国際線だけに乗務するやり方を選べるようにする。21年4月からの2年間の時限措置。給与は勤務日数が5割の場合は従来の半分程度、8割とした場合は75%程度となる。給与はダウンするが、副業や地方での定住などがやりやすくなる。CAは羽田空港と成田空港から100キロメートルを超える場所には住めなかったが、これからは住めるようになる。
ANAHDは、「世界の航空需要がコロナ前の水準に戻るのは2024年」と見込んでいる。感染が収束すれば旅客需要は戻るとみて、大規模な人事削減は実施しない方針を示している。その間を、どうやって切り抜けるかだ。固定費の約3割を占める人件費の削減は急務だ。同時に、雇用の維持は重要な経営課題である。
時限的な新制度は、人件費を抑制し、多様な働き方を認めることで雇用の確保を図るという、苦肉の策といえなくもない。
(文=編集部)