アパレル業界の裏側…“今年のトレンド”はどのように“つくられて”いるのか?

 繊維商社の展示会というと、従来では「どこかで見たことがあるベーシックなデザインが並ぶ」という印象が強かったが、これは変わっているようで、“固有の強み”を活かして、超えようとしているようだ。

 多くのブランドでは、現在でも「前年対比売上」「仕入れに対する売上割合(消化率)」に忙殺され、「何かを止めて何かを加える、そのためにいくつかの挑戦を行う」ということを忘れている。というか、コロナ禍で先が見えないなかで、「余計な動き」といわれたくないという感情が強まっている。

 しかし、その結果生まれるのは「昨年と同じ売場」であって、お客様から見るとまったく変化がない。毎年毎月、新たな試みを加えてお客様を迎える、そこに担当者やその仕入先の個性を出せたらと願い、引き続き現場を歩いていきたい。

(文=黒川智生/VMIパートナーズ合同会社代表社員)

●黒川智生

VMIパートナーズ合同会社代表社員。1988年國學院大學文学部史学科卒。(株)ワールドにてアパレル&雑貨ブランド業務を担う。2006年3月独立。東アジアのファッションブランドを主な対象として「BRANDING」「MERCHANDISING」「LOGISTICS」の分野で事業戦略構築&実施を支援している。一般財団法人ファッション産業人材育成機構(IFIビジネススクール)と文化服装学院では、各種クラスで講師を担当。