20年4~9月期(21年3月期第2四半期)の売上収益は前年同期比74.0%減の1947億円、最終損益は1612億円の赤字(前年同期は541億円の黒字)だった。それでも同業他社と比べて財務は健全だ。4~9月期の自己資本比率は43.6%。今期の最終赤字が予想の上限になったとしても、期末の自己資本比率は40%台をキープできるとしている。
全日本空輸を傘下にもつANAホールディングス(HD)の21年3月期の最終損益(日本会計基準)は5100億円の赤字の見込み。JALの最終赤字の約2倍だ。4~9月期の最終赤字は1884億円。自己資本比率は32.3%。JALの自己資本比率は欧米の航空会社やANAよりも高い。
というのもJALは2010年に会社更生法の適用を申請し、3500億円の公的資金の注入など国の支援を受けて再生した。繰越欠損金の控除を受け、12年の再上場後から19年3月期まで税負担が少なかったこともあって、20年3月末までの7年間で自己資本比率は12ポイント上昇した。
政府は公平な競争環境を保つべく、全日本空輸(ANA)に羽田空港の発着枠を多く割り当てた。国土交通省はJALの投資と路線の開設を抑制した。その結果、コロナ禍で需要が激減したにもかかわらず、世界の航空会社のなかでJALは飛び抜けて高い財務の健全性を保つことができた。
世界の航空会社の経営状況は厳しさを増している。国際航空運送協会(IATA)によると、20年の世界の航空需要は前年に比べて66%減少する見通し。独ルフトハンザは20年7~9月期決算で約2500億円の最終赤字を計上。仏蘭エールフランスKLM、米デルタ航空も巨額の赤字となるなど総崩れとなっている。
倒産する航空会社も出た。タイ国際航空は会社更生手続きの開始を決定した。国内ではエアアジア・ジャパン(愛知県常滑市)が11月17日、東京地裁に破産手続きの開始を申し立てた。負債総額は約217億円。同社はアジア最大のLCCエアアジアグループの日本法人で楽天などが出資して2014年に設立。新型コロナに伴う需要減で今年4月に全便運休。12月5日付で事業を停止すると発表していた。
海外大手と比べて財務体質が良好なJALは、コロナ後をにらみ勝負に出た。勝算のほどは、いかに。
(文=編集部)