代表取締役は30%、取締役は20%、執行役員は10%削減している役員報酬についても減額幅を拡大する。7月の再開後も入園者数を絞っており、来年3月まで大規模なイベントもほとんど中止する予定。今後も減収は避けられない。
旅行大手のJTBは社員1万3000人に対し、冬のボーナスを支給しないことで労使間で合意した。冬のボーナス支給が見送られるのは1989年以降初めてとなる。通常、12月に支給するボーナスは基準内賃金の月数に基づいて支払われ、例年、6月頃に支給額を決定してきた。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大により国内旅行の夏休み期間中の予約は昨年同期の5分の1程度に激減した。海外旅行は8月の出発分まですべての国と地域で取り扱いが中止になるなど経営環境が悪化した。夏のボーナスは昨年度の業績に基づいて決めていたため支給した。
JR西日本は冬のボーナスにあたる一時金を春の労使交渉で2.69カ月分で合意していたが、これを1.5カ月分に引き下げると各労働組合に提案した。組合員平均で35万~40万円の減額となる。JR西は21年3月期の連結最終損益が2400億円の赤字となる見通し。1987年の民営化以降で最大の赤字額となる。約700億円のコスト削減を打ち出している。
三菱自動車も冬のボーナスを今春の合意時点から約2割引き下げることで労働組合と合意した。今春に妥結していた2.65月分から2.05カ月分に引き下げる。一般社員約1万3000人が対象。リコール隠しが表面化し経営危機に発展、ボーナスの支給を取りやめた04年以来初めて年末一時金の支給額を減らした。
11月には本社など国内の社員を対象に500~600人規模の希望退職を募集する予定。非組合の管理職も基本給を1割減らした。主力の東南アジア市場が不振で21年3月期の連結最終損益は3600億円の赤字を見込む。
冬のボーナスの支給に慎重な中小企業が増えている。浜銀総合研究所が実施した神奈川県内の中堅・中小企業を対象にしたアンケート調査によると、冬のボーナス支給を「未定」とする企業が20.5%を占め、19年調査から11.8ポイント増加した。ボーナスを「支給する」と回答した企業は12.9ポイント下がって73.2%。「支給しない」は1.4ポイント上がり3.7%だった。
「冬のボーナス崩壊」で住宅ローンが払えない“住宅ローン難民”が多数出ることになる。
(文=編集部)