実は、レジ袋を有料化することが省資源化につながるか、国も明言していないのです。経済産業省のレジ袋有料化を説明するホームページには「何気なくもらっているレジ袋を有料化することで、それが本当に必要かを考えていただき、私たちのライフスタイルを見直すきっかけとすることを目的としています」と書いてありますが、これにより年間何トンのプラスチックゴミが削減されるとは書かれていません。
当たり前の話ですが「レジ袋もらわない(-1個)」のあとで「百均のゴミ袋購入(+1個)」となっていたら全体では資源の使用量は変わらないからです。
また、海洋ゴミにレジ袋が漂っていて、海洋生物がクラゲと誤認して食べる危険も指摘されていますが、プラスチックゴミのうち、「漁網、ロープ」「ブイ、発泡スチロールブイ」「その他漁具」のような個人が排出するわけではないゴミが重量ベースで約60%、容積ベースで50%以上になっています。発泡スチロール片なども含めると、実際にはもっと多いと考えられます。
個人が出すゴミで多いのはペットボトルの類いで、個数では40%以上にもなっています。「ポリ袋」は実は重量でも容積でも個数でみても1%未満なのです(ただし漂着前に分解されてマイクロプラスチックになっている可能性はあります)。
省資源化や海の環境保全を真剣に考えるなら、むしろペットボトルの投棄をなくしリサイクルを意識するほうが重要ですし、ポリ袋をしっかり燃えるゴミとして収集に出せばいいのです。
プラスチックによる海洋汚染の問題は「レジ袋をなくせば海がきれいになる」というほど単純ではありません。私たちのライフスタイルを「見直すきっかけ」としつつ、必要ならレジ袋を気にせず買ってもかまわないのです。
(文=山崎俊輔/フィナンシャル・ウィズダム代表)