ここ10年で“機能向上なし”のデジカメ、いまだに家電量販店で売られている理由

超高級モデルは一定の需要があるも…デジカメ市場は想像以上に悲惨

 2000年代半ばから現在まで、衰退を続けているというデジカメ市場。しかし、出荷台数は10年前の8分の1と大幅減少しているが、少なからずまだコンパクトデジカメを購入するユーザーは存在する。

「2010年の時点ですでにコンパクトデジカメを購入する方はかなり減っていたはず。そこからの10年で出荷台数がさらに8分の1に縮小したので、は今コンパクトデジカメはもうほとんど売れていないと言えます。

 ボディは小さくしつつも大きなレンズと大きなセンサーを搭載したような、“超高級コンパクトデジカメ”はスマホ以上のスペックを備えているので、少なからず需要はあります。ですが逆に考えると、1万円~5万円程度の一般的なスペックのデジカメ市場は、“ほぼ死んだ”と言っていいレベルでしょう」(西田氏)

 だが、スマホのカメラ機能が目覚ましい技術革新で進歩しているのだから、近年のコンパクトデジカメの機能も大幅に進化しているのではないだろうか。

「いえ、率直に言って、コンパクトデジカメのスペックはここ10年間でほぼ向上していないのです。市場原理としては単純な話で、売れない商品にはメーカーも大規模な開発費を投じられませんし、最新のパーツも使えません。消費者の多くがわざわざ2~3万円のコンパクトデジカメを買うくらいならば、カメラ性能の良いスマホを購入するという時代。スマホのカメラ機能が革新的に進化しているのに対し、残念ながら、低価格でないと売れないコンパクトデジカメの性能は停滞したままなのです」(西田氏)

 スマホの普及とともにニーズが低下しただけでなく、メーカーまでもが新しい製品に力を入れなくなったコンパクトデジカメ。買い手がほぼおらず、売り手もやる気を失っているということであれば、確かにコンパクトデジカメ市場は“ほぼ死んだ”と言えるのかもしれない。

(取材・文=A4studio)