新プレステ5対応、次世代VRの機能を大胆予想…現行機の“最大の難点”を改善?

 ソフトウェア上の話では、VRゲームならではの“ストーリー体験”を味わわせてくれるゲームシステムが、まだ発明されていないことですね。ファミコン時代を例に挙げるとすると、『スーパーマリオブラザーズ』のような単純明快で爽快なアクションゲームだけでなく、『ドラゴンクエスト』シリーズのようなストーリー体験ができる作品が大ヒットしたことで、ユーザー層が広がったといえます。

 ところが現行のPSVRのゲームは、装着感の問題もあり長時間プレイにあまり馴染まず、表現できるストーリー体験が限られてしまっています。要するにストーリー体験を味わうのに向いていないのが現状です。前述した現行PSVRでヒットした2本のゲームはアクション要素が大きいゲームで、スカっとしたとかストレス解消になったという体験はできました。しかし、感動したとか、泣いたという体験はできません。そういった体験を可能にするゲームがまだ発明されていないという部分が、PSVRに限らずVRゲームの最大の課題点であり、伸びしろでもあると思います。

 次世代PSVRがより多くの人に普及するためには、ハードウェアに求められる装着性の改善・刷新を急ぐとともに、VRデバイスならではの物語表現の形式を発明することが、より多くの人に普及するための大きな課題なのかもしれません」(小野氏)

「PSVR」、進化のカギとなるのは“触覚”か?

 PS4用の現行PSVRの課題から、PS5用の次世代PSVRに求められているものが見えてきたが、今後技術の進化が進むなか、次世代PSVR対応ゲームにはどういった新機能が追加されていくのだろうか。

「PS5の新機能として“触覚”に着目したシステムがいくつか搭載される予定のようです。例えば、ゲーム中に操作している車が泥道を走行すると、ずっしり重い感触がコントローラーから伝わってくるといった『ハプティックフィードバック』。ほかにも、ゲーム中に弓矢を引き絞るときのアクションを、コントローラーでリアルに実感できるといった『アダプティブトリガー』。

 PS5ではこういった新機能によって、ゲーム作中にあるさまざまな感覚をリアルに力強く表現することができるようになるでしょう。そして、次世代PSVRでもそういった“触って楽しめる要素”を活かせるようになるのではないかと推測しています」(小野氏)

“新体感”を謳うゲームのキャッチコピーも少なくはないし、ユーザーは常に新しいゲーム感覚を求めているともいえる。未来の技術の最先端は一体どんな形でVRゲームに搭載されていくのか、楽しみである。

「次世代PSVRでどこまで実現できるかは未知数ですが、AR(拡張現実)やMR(複合現実)の発達によってもVRゲームの可能性の幅は広がります。

 デバイスにカメラを搭載して周囲の状況を重ねあわせることで、目の前に置かれている家具や家電などに対して、AIがその物体の意味を認識しゲームの世界の物体として解釈するということも、今後のVRゲームでは可能になってくるかもしれません。自分の部屋のソファーの陰から敵が出てくるだとか、壁にかかっている額縁を覗き込むとそこから異世界の風景が見えるだとか、そういったことが可能になる研究開発は進んでいますので、次世代PSVRのゲームにはそういった新体験にも期待したいですね」(小野氏)

 年末発売予定のPS5が、ハイスペックなゲームマシンであることは間違いない。PS5用のPSVRについてはまだ予想の範疇でしかないが、ゲームの未来を開拓するデバイスとして、ゲームファンの期待値は高まるばかりだろう。

(文=A4studio)