中央銀行が資金供給をすると、金利が低下して投資がしやすくなります。今後の見通しが良ければ、それが設備投資などに回り、経済が活発になります。しかし、設備投資をするだけの期待が持てないと、その資金が株式市場などマーケットに流れ込み、不況のなかで株価が上昇することがしばしば起きます。今回もそのような状況になっているようで、株式ばかりでなく、金(ゴールド)などの価格も上昇しています。
それでも、やはり長い目で見ると、「株式相場は景気を映す鏡」になるようで、両者の食い違いが修正される傾向があります。想定されるケースは2つです。ひとつは、株式相場が下落して、景気の実態に近づくケースです。ITバブルが典型ですが、期待だけで実態が伴わないと、株価の上昇は続きません。
もうひとつは、景気が回復して株価の上昇に相応した経済状況になるケースです。さらに株価が上昇して、そこから本格的なバブルの始まりとなる場合もあります。1985年頃の日本がそのような状況でした。当時、円高ドル安を抑えるために日本銀行は徹底した金融緩和を続けていました。その資金が株式や不動産の価格を押し上げましたが、それをきっかけに経済が活況になり、本格的なバブル景気に至りました。株価の上昇に実体経済が追いつくようになると、3~4年は相場の上昇が続きます。
今の状況がどうなのかはまだわかりませんが、どちらの可能性もあります。バブルの崩壊に注意しながらも、これから始まるバブルに乗ることを狙うような投資姿勢でいたいものです。
(文=村井英一/家計の診断・相談室、ファイナンシャル・プランナー)