授乳室や子どもが遊べる空間も…ユニクロ、新3店舗にみる革新的進化と難点

3.国内最大級の新グローバル旗艦店「ユニクロ トウキョウ」

 マロニエゲート銀座2のユニクロ トウキョウは、スイス発の建築家ユニットで北京五輪の鳥の巣競技場で知られるヘルツォーク・アンド・ド・ムーロンが内外装を手掛けた。躯体のコンクリートむき出しで中央を吹き抜けにして、各層に空間の広がりを与えている。ここ数年でユニクロ全店のVMDは非常にレベルが上がっている。ユニクロ トウキョウでは全フロアのVMDもさまざまなクリエイターと取り組んでいる。

 ただ、3階のメンズ売場のVMDも素晴らしかったが、商品を売場で探すのに苦労した。大型化する売場での課題のひとつである。

 また、場所柄カジュアルだけでなくスーツ、シャツのイージーオーダーも充実させているが、ジャケット、スーツのお粗末さも課題である。過去にコラボした「+J」のスーツのシルエットは安価でも美しかった。しかし最近注力しているスーツの完成度は、残念ながら低い。グローバル旗艦店であるならば、シャツやジーンズに並ぶスーツ、ジャケットにも飛びぬけた価格訴求力を実現させてほしい。

まとめ

 国内アパレル市場の約2割を占めるファストリが、アパレル業界に明るい話題を提供した。業界では今、ファッションのカジュアル化、そしてコロナ禍が前倒しにした新生活様式の模索が続いている。新たな挑戦を続け、売上世界一を目指すファストリの動きから目が離せない。ベーシックな“LifeWear”の安定した需要を土台に、「服が人々に与える素晴らしさ」を永遠に提供していってほしい。

(文=たかぎこういち/タカギ&アソシエイツ代表、東京モード学園講師)