グーグルの検索順位で上位を取れなくなっていったことや、キュレーションメディア自体への批判が、NAVERまとめの“終わりの始まり”だったのかもしれない。
必要としている情報を簡単に集めることができるようにと生み出されたNAVERまとめは、キュレーションという概念の普及によって、キュレーションメディアとしての色合いが濃くなっていった。しかし、NAVERまとめには著作権に関する、深刻な問題が内在していたという。
「NAVERまとめで作成された記事のなかには、出典元を明記する必要がなかったこともあり、個人やほかのメディアが掲載した記事や画像を無断で転載していたという例が多く存在しました。悪意のあるまとめ記事だけでなく、権利者の手を煩わせるようなNAVERまとめ運営の対応の悪さが、大きく取り沙汰されたことも少なくありません。
例えば、『クックパッド』では人気のあるレシピを表示する機能が有料コンテンツとして実装されているのですが、その人気レシピがNAVERまとめでまとめられたことが問題となりました。結果的にこの件は、2013年5月31日までに掲載されたクックパッドのコンテンツを利用した記事を公開停止し、その後もまとめ作成に制限をかけることで対処されました。
個人だけでなく大手メディアからも批判された著作権侵害の問題について、NAVERまとめが本腰を入れて取り組み始めたのは、WELQ問題が発生した後の17年からと、わりと近年のことでした。このいい加減とも取れる著作権保護の対応の遅れは、NAVERまとめで最も大きな問題点といえます」(高橋氏)
批判を浴びることもあった運営姿勢も、サービス終了の原因の一つだったのではないだろうか。そんなNAVERまとめだが、インターネット社会に何をもたらしたのか。
「NAVERまとめ最大の功績は、それまではあまり注目されていなかったキュレーションという概念を広め、キュレーションメディアに価値があるということを示したことにあります。WELQのように問題のあるサービスも生まれてしまいましたが、後発のキュレーションメディアを誕生させるきっかけをつくり出したこと自体には大きな意味があったと思いますね。
また、NAVERまとめで発生した著作権の問題は、『YouTube』や『Tik Tok』のように契約を結んで使用できるようにする、権利者の申請で停止できるようにするなど、対応策を講じているメディアも多いです。今後は最初から各種メディアと契約を結ぶ、一次ソースとして利用される記事に収益をもたらすなど、著作権の諸問題を考慮した規約のキュレーションメディアが登場してくるのではないでしょうか」(高橋氏)
キュレーションの概念を普及させるのに一役買い、無断転載といった著作権の問題を浮き彫りにするなど、さまざまな功罪を残してまもなくサービスを終えるNAVERまとめ。検索事業にNAVERまとめのノウハウを活かそうとしているLINEの行く末だけでなく、後発のキュレーションメディアがどのようなかたちで姿を現わすのかも注目されるところだ。
(文=佐久間翔大/A4studio)