消費減税、今こそ検討に値、十分に実施可能…GoToは東京除外で経済効果4割減

 仮にドイツやイギリスのように半年の期限付きであれば、財源はGoToキャンペーンの1.7兆円に7000億円を上乗せした2.4兆円程度で済み、実質GDP押上げ効果も1.3兆円程度が期待できることになる。

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求められる中央集権緩和と地方への権限移譲

 これに対して、観光関連産業への効果が不十分との意見もあるかもしれないが、単純にそうとはならないだろう。なぜなら、すでに地方自治体が独自の観光支援策を実施しているからである。事実、すでに40都道府県で県内在住者などを対象に、宿泊割引などの観光支援策を実施している。この背景には、第一次補正予算で新型コロナウィルス感染症対応地方創生臨時交付金として1兆円、2次補正でさらに2兆円拡充されていることがある。

 ただ、米国の経済対策と比較すると、米国では地方債市場が確立していることもあり、FRB(米連邦準備制度理事会)が地方債を買い入れることで地方政府の資金繰りを支援している。これに対し、日本では流動性のある地方債市場が確立しておらず、地方自治体の地方債発行も自由度が低い。このため、地方交付税交付金に頼らざるを得ない状況となっている。

 しかし、新型コロナウィルスの感染状況が地域によって大きく異なるという面で評価すれば、中央政府主導による新型コロナウィルスの感染症対応では限界があり、ある程度権限を自治体に移譲することで効率的な対応が可能となる。

 したがって、新型コロナウィルスの感染拡大抑制と経済活動再開を効率良く実施するためにも、政府は地域間の公平性を保てるような税制や地方債発行等といった制度面を通じたマクロ的政策に集中し、地域間の状況が大きく異なる施策については、可能な限り各自治体に任せるべきだろう。

(文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト)