コロナ下で西松屋の快進撃が止まらない…シャープOBなど技術者が支える“理系”経営

 PBは多くの小売業が採り入れているが、西松屋はユニークだ。生産管理などはノウハウのある大手商社にまかせ、生産は中国で行う。西松屋はコアとなる企画や生産数量といった重要な方針は決めるが、あとは徹底したアウトソーシングだ。

 パナソニックやシャープの技術者を大量に採用したのは、渥美俊一氏から「家電メーカーの技術者を採用して、生産管理などをやってもらったらいい」とのアドバイスを受けたことによる。渥美氏は若手の小売業のリーダーを集めたペガサスクラブを主宰し、日本のチェーンストア業界の父と呼ばれている。西松屋は理系人材をさまざまなポジションで登用している。

 今後は、PB商品のネット通販の底上げに力を入れる。21年2月期、ネット通販専用の物流2拠点を統合。21年夏までに自社の通販サイトを立ち上げる。ネット通販比率は20年2月期は2.5%、35億円だったが、25年2月期には1割にあたる200億円程度を目指す。

20年ぶりにトップ交代

 西松屋チェーンは20年ぶりにトップが交代する。大村浩一取締役専務執行役員(32)が8月21日付で社長兼最高執行責任者(COO)に昇格する。大村禎史社長(65)は代表権のある会長兼最高経営責任者(CEO)に就く。浩一氏は禎史社長の長男。10年、東京大学法学部を卒業、みずほ銀行に入行。14年西松屋チェーンに入社。19年取締役、20年から専務執行役員。コロナ後の環境に対応するため、経営体制の若返りを図る。

(文=編集部)