最近の日本における豪雨については、活発な太陽活動の影響で暖かさが続いている海面から発生した大量の水蒸気と、大陸の冷却による偏西風の蛇行で南下した北極の寒気が衝突して、降雨量を飛躍的に増加させていると説明できるのではないだろうか。寒冷化への移行期に異常気象が発生しやすいことがわかっていることから、「50年に一度」の記録的な異常気象が頻発する現在の状況は、すでに小氷期に入りかけていることの証左なのかもしれない。
寒冷化は、食糧生産に甚大な悪影響をもたらすことはいうまでもない。異常気象が常態化する時代にあっては、社会のレジリエンスが大切になる。災いが起きても回復力があれば、最小限の被害で元の状態に戻すことができるというわけだが、「強いところばかりを強化するのではなく、弱いところをかさ上げして社会全体を強くする」という脆弱性アプローチへと政策を大転換させることが急務である。
現在進行中の新型コロナウイルスのパンデミックでも痛感することであるが、世界に冠たる超高齢社会となった日本ほど、この能力が必要な国はないだろう。
(文=藤和彦/経済産業研究所上席研究員)