19年11月10日、天皇陛下の即位祝賀パレードが行われた。沿道は、スマホを掲げて世紀の瞬間を記録しようとする人で埋め尽くされた。カメラからスマホに主役が交代したことを象徴する光景だった。
デジカメで苦しんでいるのはオリンパスだけではない。デジカメ世界首位のキヤノンの19年12月期のデジカメなどイメージングシステム事業の営業利益は62%減の482億円だった。リーマン危機前の07年12月期には売上高営業利益率は27%だったが、19年同期には同6%にまで下がった。高収益会社の面影はすでにない。キヤノンは御手洗冨士夫会長兼CEOが社長を兼務し、医療機器など新規事業の育成に力を注ぐ。
デジカメを主力にしているニコンは、20年3月期の映像事業の営業損益が171億円の赤字(19年3月期は220億円の黒字)に沈んだ。
新型コロナウイルスによる外出規制やイベントの中止が“デジカメ不況”に追い打ちをかける。CIPAによると5月のデジカメの世界出荷台数は前年同月比72.6%減の36万台と激減した。デジカメはもはや「趣味・嗜好品」。生活必需品ではなくなった。デジカメ市場そのものが消滅の危機を迎えている。
(文=編集部)