ゲームユーザーの高齢化から旧作ゲームの需要が高まっているが、その需要に見事に応えているのがカプコンなのだそうだ。旧作が再販売される際には、グラフィック面の改良などリメイクが行われることも多いが、この分野においてカプコンは高い技術を誇っているからだという。
「現在さまざまなゲーム会社が、過去のヒット作のリメイクを行っていて、当時のマシンでつくられたグラフィックを、きれいに直して再発売するというケースがよく見られます。今年4月にスクウェア・エニックスが『FF』シリーズの大ヒット作である『VII』のリメイク版『ファイナルファンタジーVII リメイク』を発売していますし、カプコンは『バイオハザード』のナンバリングタイトルのリメイクシリーズを展開しており、今年4月に『バイオハザード RE:3』を発売しています。
カプコンがこういった旧作リメイクで成功しているのは、自前で開発したREエンジンというゲームエンジンの役割が大きいようです。常に高い評価を受けていて、これを使うとゲームが開発しやすいそうなんです。ですから、かなり素早くかつ比較的低コストに、過去作をリメイクできているのでしょう」(小山氏)
最後に、これからのカプコンについて、今後の先の展望を聞いた。
「2020年末に発売予定の『プレイステーション 5』が出た後に、ゲーム業界がどうなっていくのかは読めないのですが、状況に大きな変化がなければ、カプコンはREエンジンのおかげで開発ピッチも早いでしょうから、これから数年は良い業績が出ると思います。海外で強い『バイオ』や、国民的ゲームとも言える『モンハン』というシリーズも持っていますので、しばらくは安泰でしょう。
ただ、旧作のリメイクといっても、たとえば『バイオ』シリーズのナンバリング作品は現時点で『7』までしかないわけで、当然ながら数に限りがあります。ですから、過去の遺産に頼るだけではなく、これから新規タイトルをどれだけヒットさせることができるか、『バイオ』や『モンハン』の新作がどれだけ売れるかということにかかってくるでしょう。
また、カプコンはスマホゲームのほうでなかなかヒット作を生み出せておらず、それなりに苦しんでいるのも確かです。長期的に見れば、スマホゲームのような、家庭用ゲームやPCゲーム以外の開拓というのも、鍵になってくるのだろうと思います」(小山氏)
総務省が6月5日に発表した家計調査によれば、4月のゲームソフトの消費支出は2倍だったという。時間が取れずに少し離れていたものの、外出自粛中に再び家庭用ゲームで遊び始めたという人も多いことだろう。そういった人にも馴染みがあるだろう人気シリーズ作を数多く持つカプコンの好調は、まだまだ続きそうだ。
(文・取材=後藤拓也/A4studio)