対応の遅れには、新型コロナウイルス感染症の影響もあります。在宅勤務への切り替えなどの理由でコンテンツのチェックをAIなどに任せた結果、チェック漏れが発生してしまい、それを人の目ですべて確認することもできていないため、不謹慎系が放置されてしまっている現状にあるのです」(高橋氏)
では、今後も増加し続けていくのだろうか。
「話題になった事柄に便乗して再生回数を稼ぐという手法は、トレンドブログのようにすでに定番化してしまったような印象があります。逆張り系とされるような動画は多少なりともファンを獲得し、物見遊山でそういった動画を視聴して再生回数に貢献するような方も存在するため、完全になくなるということはないでしょう。
しかし社会での批判が今以上に強まっていった場合は、YouTubeがさらに規則を厳しくすることで対策に乗り出すことも考えられます。ただ、規約改定は、かつて多くのユーチューバーが米国の児童オンラインプライバシー保護法に違反して制裁金を払うことになり、子ども向けコンテンツのターゲティング広告が廃止されたときのように大きな問題になったり、批判の声が大きくなってからのことが多いため、あまり現実的ではないかもしれません。
不謹慎系がメディアで取り上げられなくなり、そういった方や動画に対して反論するような動画や記事が出なくなるなど、話題にならなくなるといった状況に変化すれば減少していくかもしれません。しかし、そういったことが起こらない限りは、不謹慎系はしばらくの間、新たに生まれ続けていくでしょう」(高橋氏)
簡単に動画が制作できて注目を集めやすく、さらに収入も獲得できるとあっては、その増加がとどまるところを知らないのも無理もない話だろう。結局のところ、不謹慎系や逆張り系とされる動画を減らすには、個々人がそういった動画を視聴せず、話題にも出さない以外の方法はないのかもしれない。
(文=佐久間翔大/A4studio)