ソーシャルギフトの個人利用を後押しするのが、新型コロナの影響だ。
「外出自粛要請が出て以降、家から出なくても買い物ができるネットショッピングやフリマアプリの利用率が上昇しています。ソーシャルギフトも、配送型やデジタル型であれば、贈る側も受け取る側も家にいながら配送から受け取りまでが完了するため、最適です」(同)
先ほど紹介した「giftee」では、新型コロナの感染拡大にともない、商品が自宅に届く配送型ギフト、オンラインサービスを利用できるデジタル型ギフトの販売が爆発的に増加した。また、新型コロナの流行時期は卒業や入学・入社のシーズンに当たっていた上、母の日もあった。高額なギフトを贈るシーンが増えたので、平均購入単価も上がっている。
「新型コロナの影響でソーシャルギフトを利用する人が増え、業界全体が、より多様なシーンに対応できるよう発展していくのでは、と考えられます。日本でソーシャルギフトサービスがスタートして10年近くがたとうとしていますが、開始直後に注目されて以降、話題性が下がってしまっていたのが正直なところです。コロナパニックを機に多くのプラットフォームが進化していけば、日本にもソーシャルギフトが定着していくかもしれませんね」(同)
とはいえ、ソーシャルギフトサービスがより発展し、日常生活に定着していくためには、クリアすべき課題も多いと遠藤氏は指摘する。
「新型コロナの感染拡大を防ぐための外出自粛が業界全体の売り上げを後押ししているものの、まだまだ国内での認知度は低いでしょう。これは私の考えですが、ソーシャルギフトは『デジタルギフト』や『eギフト』など、さまざまな名称があり、人々の認知も分散してしまっている印象を受けます。業界が一丸となり呼び名を統一できたら、今以上に知名度が上がるのでは、と思います」(同)
また、アフターケアにも力を入れてほしい、と遠藤氏は話す。意外に多いトラブルが、贈った相手にギフトを受け取ってもらえないというケースだ。
「ソーシャルギフトは手軽とはいえ、ネットに不慣れな人からすると、どう操作して受け取ればいいのかわかりづらいもの。配送型の場合は個人情報の入力に抵抗がある人もいますし、店舗受け取り型の場合は受け取る側の自宅周辺に受け取り可能な店舗がないと受け取ってもらえません」(同)
ほかにも、ただのメッセージだと勘違いされてギフトであることを気づいてもらえず、受け取ってもらえないこともあるという。
「相手に受け取ってもらえなかった場合でも、贈った側に返金はされません。こうした課題が解決されていくと、より安心して使えるようになるので、返金保証制度が整うといいと思います」(同)
こうした懸念もあるため、「ソーシャルギフトを贈るなら、まずはカジュアルな贈り物からがいいでしょう」と遠藤氏は言う。
「『giftee』や『LINEギフト』は安価なギフトも多いですし、LINEのアカウントさえ知っていれば贈ることができるので、とても簡単です。メッセージも添えられるので、相手に『プレゼントだよ』ということも伝えられます。『Gift Pad』は6万点以上のアイテムが幅広い価格帯で揃っていて、あらゆるシーンで利用できるので、誕生日や出産祝いに向いていますね」(同)
ギフトのラインナップはもちろん、プラットフォームごとに用意されたお得なサービスも見逃せない。
「『LINEギフト』はギフトの支払いにLINEポイントを使うことができます。LINEポイントはLINEの各種サービスを利用することで貯められるので、知らずに貯まっている可能性もありますよ。また、『cotoco』は会員登録をすると、支払いに使えるポイントが貯められたり、メルマガ受信者限定のキャンペーンがあったりします。メルマガキャンペーンでは対象商品が最大50%オフになるなど割引率の大きいキャンペーンも多く、おすすめです」(同)
「LINEギフト」と「cotoco」は、自分自身にもギフトが贈れる。キャンペーン時に自分用にギフトを買い、その購入時のポイントを貯めておけば、誰かへの贈り物をお得に購入することもできるのだ。
仕事はテレワーク、学校の授業はオンラインと、コロナとの共生のために、あらゆる分野でリモート化が進み、物理的な距離も「ソーシャルディスタンス」を保つことが求められている。ソーシャルギフトサービスを活用することで、もっと気軽に贈り物をし合う文化が生まれ、心の距離も縮めることができるかもしれない。
(文=ますだポム子/清談社)