そして、新型コロナウイルスの影響で業界も変わりつつあるという。
「最近のYouTubeでは、芸人をはじめとした芸能人が続々とデビューしていますよね。これがコロナウイルスの影響でテレビやCM、イベントの仕事が減ったことによる一時的な現象であればいいんですが、おそらくそうではないと思います。既存のユーチューバーたちは強い危機感を覚えていますよ。というのも、成功しているユーチューバーたちでも、動画は決して面白くないことが多く、本人たちもそれは十分にわかっています。面白さではなくマーケティングに長けた人たちが収益を出しているのがモデルであり、その土壌が芸能界からの転身者が増えることで構造的に変わる可能性もあるからです。いずれにしても、淘汰も起き始めており、ユーチューバーにとって転機のタイミングを迎えているのも現実でしょう」
人気ユーチューバーの「おるたな」も、自身が所属するUUMからユーチューバーが続々と退所する状況について、動画内で分析している。
決してUUUMがブラック企業なわけではないとフォローしつつ、20%のマネジメント料がネックになっているとの見解を示した。ユーチューバーは給料をもらう立場ではなく、いわば料金を支払ってサービスを受けているようなものであって、その金額に見合わないと感じれば退所するのは当然という。おるたなは、お金を払っているのだから、サービス内容について交渉して、待遇を改善してもらってきたと明かす。さらに、現在も退所するか迷っていると心境を漏らした。
4月末には、吉本興業とUUUMの業務提携が発表された。これにより、一時1600円台まで下落していたUUUMの株価は2300円を超えるなどストップ高となり、現在は2600円を超えている。
「下落に耐えかねたUUUM側から、吉本興業に泣きついて頼み込んだと聞いています。この提携は吉本側からすれば大きなメリットがない話で、社内からは反対の声も相次いだようですが、UUUMの熱意が同社の上層部を動かしたかたちです。結果的にUUUM側の思惑が当たり、一時的な立て直しには成功しました。また、UUUMとしては続々と退所するユーチューバーのリスク管理をしたいのも提携の狙いのひとつでしょう。タレントを多く抱える吉本からマネジメントのノウハウを学び、広報対応も含めて強化していきたいという意図が見え隠れします」(スポーツ紙芸能担当記者)
これまでYouTubeビジネスにおいて、国内で圧倒的な存在感を放ってきたUUUMの支配力にも陰りが見え始めている。今後はユーチューバーたちが芸能事務所へ移籍するケースも増えていくとの見方もある。岐路に立たされたUUUMの動向に注目したい。
(文=編集部)