「近年は、人里離れた場所でもインターネットが整備されているので、旅をしながらでも常に友人や仲間とつながり、ネット中継などもするため、一人旅でも孤独感がありません。そのため、わざわざ密な場所に行く必要がないのです。そうしたトレンドを受け止めつつ、新型コロナウイルス禍を回避するために観光業界が編み出そうとしているのが、人混みをつくらない観光なのです」(前出・観光業界関係者)
これまでの観光地や観光名所は、人をたくさん集めることで成り立ってきた。人を集めない観光は、これまでの逆の発想ということになる。
「ネット利用によって人里離れた秘境でも孤独感がないため、人のいる・いないといった基準で観光地を決めない傾向にあるようです。加えて、最近は人里離れた秘境のほうが“インスタ映え”するので、積極的に足を運ぶ傾向があると感じています。問題は、それをどうビジネスとして成り立たせるのかという点。まだ、観光業界全体でも手探りは続いていますが、新たなビジネスチャンスではないかと考えています」(前出・観光業界関係者)
コロナ禍により、新しい生活様式が盛んに提唱されるようになったが、「孤」という新たな旅行トレンドをも生み出しそうとしている。
(文=小川裕夫/フリーランスライター)