在宅勤務で夫or妻にイライラ問題、具合的な解消法…会社に行かないメリットを列挙せよ

 在宅勤務ですし、普段の「付き合い」でなんとなくの外出や、飲み会の予定はなくなりましたので、時間に余裕ができた人が多いと思います。そんな今だからこそできることは、結構あるはずです。

 すべての物事にはメリットとデメリットがあります。人間はサバイバル・ベネフィットといって、ネガティブなことに目が向くようにできています。本能のようなもので、危機に対して敏感になることでヒトは原始時代から生き残ってきたのです。しかし今は、人と会わないだけで自身は守れます。過剰にデメリットだけに目を向けず、在宅勤務のメリットを自分なりに挙げてみましょう。

「家族との時間が増えた」

「自分で時間管理ができる分、効率よく仕事が進む」

「無駄な会議が減って仕事が進む」

「気が合わない上司の視線を気にせず仕事ができる」

などなど。ほら、悪い話ばかりではないですよね。

 先ほどイライラからドメスティック・バイオレンスが増えていると書きましたが、実はその裏では、普段仕事が忙しくて顔を合わせることができない夫婦にとっては、二人の時間が増えるメリットもあるはずです。

 1977年にニューヨークでは落雷による大規模停電に見舞われ、復旧に手間取り3日間も停電が続き生活は大混乱。でもなぜかその9カ月後にはベビーブームが――なんて話、聞いたことありませんか。私の担当した社員も、メンタルで休職中に子供が授かった、なんてことは案外多いものです。

 新型コロナでのテレワークを、前向きな気持ちで乗り越えて行ければよいですね。

(文=矢島新子/産業医、山野美容芸術短期大学客員教授、ドクターズヘルスケア産業医事務所代表)

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山野美容芸術短期大学客員教授。ドクターズヘルスケア産業医事務所代表。東京生まれ。東京医科歯科大学医学部卒。パリ第1大学大学院医療経済学修士、WHO健康都市プロジェクトコンサルタント、保健所勤務などを経て産業医事務所設立。10年にわたる東京女子医科大学附属女性生涯健康センターの女性外来、産業医として数千人の社員面談の経験より、働く女性のメンタルヘルスに詳しい。著書に『ハイスペック女子の憂鬱』(洋泉社新書)ほか。