高輪ゲートウェイ駅でJR東日本が挑む“初の試み”…再開発エリアの“名称問題”も

 駅が街の玄関であれば、駅名は街の表札だ。新しい街を示す表札に、従来の地名がふさわしくないとなれば、新しい街を示す新たな表札を用意するしかない。では「高輪ゲートウェイ」がその役割を担うことができるかというと、それは今後の街づくり次第だろう。

 そもそもこの街はどういう名前になるのだろうか。近年の大規模再開発は「六本木ヒルズ」や「日比谷ミッドタウン」など、大規模複合施設の名前がそのまま定着する傾向が強い。6月6日に開業する地下鉄日比谷線「虎ノ門ヒルズ」駅は、街の名前がそのまま駅名となり、こちらは違和感なく受け入れられた経緯がある。

 では「高輪ゲートウェイ」が街の名前になるのかというと、実はまだ正式な名称は発表されていない。開発コンセプトが「グローバルゲートウェイ品川」であるように、ゲートウェイは有力な候補と思われるが、一方でJR東日本は新たな街を生み出す取り組みを「TokyoYard PROJECT」と名付けて活動を開始しており、こうしたキーワードが並立する形になると、利用者は混乱しかねない。

 新しい街と高輪ゲートウェイ駅は今後、人々にどのように受け入れられていくのだろうか。「高輪」と呼ばれるのか「ゲートウェイ」と呼ばれるのか、はたまた別の呼び名が生まれるのか、それは同時にJR東日本のまちづくりが成功するかどうかの指標にもなるのかもしれない。

(文=枝久保達也/鉄道ライター)