メルペイは「メルカリ経済圏」の柱だ。フリマアプリで消費者同士が中古品取引をした場合、メルカリは売り上げを銀行の口座に振り込むほかに、ポイントを付与する。ポイントはアプリ内で中古品取引に使えるが、これを現金と同じように実店舗での買い物に使えるようにしたのがメルペイだった。
ドコモがメルカリを選んだのは、「ポイント経済圏」の強化を目指したものだ。国内の「ポイント経済圏」は楽天が圧倒的に強い。楽天スーパーポイントを利用できる会員数は1億人を超える。ドコモの「dポイント」は7300万人のユーザーがいるが、楽天市場のように、ポイントで自由に買い物できる「経済圏」はない。ドコモはポイントを支払いに利用できる加盟店を増やすためにメルカリと組んだ。「年7000億円規模の日本最大規模のポイント連携」(メルカリの山田進太郎社長)につなげる。
ドコモの狙いは、その先にある。メルカリが市場をリードするフリマという二次流通へ「ドコモポイント経済圏」を拡大しようとしていることだ。月間1450万人が利用するメルカリのフリマアプリは魅力だ。
業界ライバルの関心事は、資本提携にまで踏み込むかどうかに向けられている。資本提携の可能性について、メルカリの山田社長は、「進捗を見ながらあらゆる可能性を探る」と完全に否定はしていない。ドコモの吉澤和弘社長は「さまざまな可能性を検討するが、現時点では決まった事実はない」と含みを残した。
スマホ決済は一時、QRコード決済だけで約20のサービスが乱立した。激しい競争のなか、NTTドコモ(d払い)、ソフトバンク(PayPay)、KDDI(auペイ)、楽天(楽天ペイ)の携帯4陣営に集約されつつある。
「メルカリ経済圏」が「ドコモポイント経済圏」に呑み込まれる日は近いのだろうか。
(文=編集部)