全席禁煙化も選択と集中のひとつだ。喫煙を嫌う客を重視するため、全店での全席禁煙化を13年から、いち早く始めた。大手ファミレスでは初めてだという。喫煙客流出をいとわずに非喫煙客の取り込みを図るという選択と集中を行ったわけだが、結果としてこれは奏功した。ロイヤルHDは全店での全席禁煙化がプラスに影響したとの結論を下している。
ロイホでは24時間営業の全廃や全店での全席禁煙化を早い段階から行ってきたことが奏功した。メニューの高付加価値化の取り組みも早くから行ってきている。こうした施策を早くからブレずに行ってきたことが評価されている。
一方、すかいらーくHDは24時間営業の廃止・営業時間の短縮、全席禁煙化の実行が昨年と今年に集中した。さらに高付加価値化の失敗も重なった。こうして昨年と今年の業績が大きく悪化してしまったというわけだ。
このように、好調なロイホと不調のすかいらーくHDとに明暗が分かれた。もっとも、ロイホは好調とはいえ、運営会社のロイヤルHDは安穏とはしていられない。ロイホは好調だが、他の飲食業態や事業が足を引っ張り、全体の収益性が低下しているためだ。
ロイヤルHDの19年12月期連結決算は、売上高が前期比2.1%増の1405億円と増収だったものの、営業利益が18.6%減の46億円と大幅減益になってしまった。売上高営業利益率は前期(4.1%)から低下し、3.3%にとどまっている。
すかいらーくHDも収益性が悪化している。19年12月期連結決算(国際会計基準)は売上高が2.5%増の3753億円と増収だったものの、営業利益が10.0%減の205億円と大幅減益となってしまった。営業利益率は前期(6.2%)から低下し5.5%になった。
両社とも収益性が悪化しており、今後の行方は予断を許さない。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)
●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。