ダウンロードしたものの、数回使っただけで休眠状態だったり、アンインストールしてしまったりしたアプリがある人も多いはずだ。テレビCMなどでは「数百万ダウンロード突破!」と威勢のいい言葉を聞くが、実際にどんなアプリがどの性年代にどのくらい使われ続けているのか。
本連載では、ダウンロード数だけでは見えない「アプリの利用率」をモニターの利用動向から調べるサービス「App Ape」を提供しているフラーに、四半期ごとに人気アプリの実態について聞いている。
前編に続き、同社のオウンドメディア「App Ape Lab」編集長の日影耕造氏に、2019年第4四半期(10~12月)を中心にアプリの動向を聞いた。
――前回は動画配信系やフリマ系のアプリ動向についてうかがいましたが、ほかに注目すべき動きはありますか。
日影耕造氏(以下、日影) ゲーム系では、前回も紹介した「ドラゴンクエストウォーク(以下、DQウォーク)」がユーザー数は微減しているのですが、月に20回以上起動するヘビーユーザー率が高くなってきました。この人たちが売り上げの原動力になっているんでしょう。
下図は「DQウォーク」と、同じ位置ゲームである「ポケモンGO」のヘビーユーザー率を比較した図です。リリース時期に違いがあるため、まだ日の浅い「DQウォーク」のほうが休眠ユーザーなどが少ないという事情があるので単純比較はできませんが、「DQウォーク」のヘビーユーザー率が高いことがわかります。
――この図では、「DQウォーク」人気もさることながら、16年リリースの「ポケモンGO」の根強い善戦ぶりもよくわかりますね。
日影 なお「DQウォークは」1月14日から28日まで「メタルフェスティバル」という期間限定イベントを開催していました。DQシリーズでおなじみのモンスター、はぐれメタル(倒すと莫大な経験値やレアアイテムなどを獲得できるが、見つけにくく倒しにくいことで有名)が群れで頻出するイベントです。
はぐれメタルの群れはランダムに出てきて、いつ消えるかわかりません。「DQウォーク」は位置ゲームなので、ユーザーは自分が今いる場所にはぐれメタルの群れが発生するか、移動するたびについ確認してしまうわけです。プッシュ通知が出るわけでもありませんから。
――通知もないのについ起動させてしまうアプリ、というのは強いですね。ヘビーユーザー率がますます高まりそうです。
日影 一方で、これは劇薬でもあります。はぐれメタルは莫大な経験値が稼げるだけに、メタルフェスティバルが終わった後、経験値の低いモンスターを倒すにはインセンティブがないとやりにくくなってしまうでしょう。いわば“はぐれメタルロス”が発生してしまうのです。
ただ、「DQウォーク」はソーシャルゲーム老舗のコロプラも共同開発しています。アップデートできるアプリの利点を生かし、はぐれメタルロスを覆すような施策が取られていくのではないでしょうか。
(構成=石徹白未亜/ライター)