スカイマーク、破綻からわずか5年で再上場へ…民間ファンド主導、鮮やかな再建の成功例

 しかし、LCC(格安航空会社)の相次ぐ参入により、国内線の価格競争が激化。業績が悪化したため国際線への進出を断念した。「A380」のキャンセルに伴い、巨額の賠償を迫られたことから、15年に経営破綻した。

 再上場に備えて経営体制を変更。19年11月1日付で佐山会長は代表権のない会長になり、専務に昇格した取締役の西岡成浩氏が、市江正彦社長と共に代表権を持った。西岡氏はモルガン・スタンレー証券からインテグラルに転じた。スカイマークでは上場準備担当の執行役員だった。佐山会長はインテグラルの代表取締役であることから、上場を申請した企業の代表を兼務できないため、代表権を西岡氏に移した。

 国際線をスカイマークの成長戦略の柱に据え、小型機で再チャレンジする。競合の少ないニッチ路線を中心に参入する方針だ。ANAHDとの協業は縮小に向かう。ANAHDが出資比率を20%未満に抑えたのは、スカイマークのドル箱である羽田空港での発着枠1日36往復分を国土交通省に没収されるのを避けるためだった。

 ANAHDのグループ戦略にスカイマークは組み込まれておらず、LCCはバニラエアを統合したピーチ・アビエーションが中心である。羽田枠を持つスカイマークがほかの大手と組むことを防ぐため、関係は維持するとみられるが、強化することはない。スカイマークは再上場後、フルサービスキャリアでも格安航空会社でもない「第三の道」を歩むことになる。

 現在、羽田などを起点に、新千歳、福岡、沖縄など国内の主要幹線をほぼカバーしている。使用する29機はすべて米ボーイングの小型機「737」だ。機種を統一し、整備費や訓練費を抑制している。チケット販売はネット直販が8割に達している。

 スカイマークは1996年、エイチ・アイ・エス(HIS)会長の澤田秀雄氏らの出資により設立され、割安な料金を武器に顧客の支持を集めた。インターネット接続会社を経営する西久保氏がオーナーを引き継ぎ、2004年に社長に就き、超大型機導入で国際線参入を目指したのがあだとなった。

 再上場に漕ぎつけた佐山氏は、今後、スカイマークの株式をどこに売却するのか。航空会社(エアライン)が有力な選択肢となる。投資ファンドは、経営再建した会社の株式を再上場して投下資金を回収するのがセオリーである。

(文=編集部)