RIZAPグループのライバルの登場として話題になった、パーソナルトレーニングジムを運営するトゥエンティーフォーセブン(247)が、早々に馬脚をあらわした。
2019年11月21日に東証マザーズに上場したばかりだが、上場1カ月後の12月20日、19年11月期の業績予想を下方修正した。税引き利益は18年11月期に比べて23%減の5億8300万円に引き下げた。従来予想は9%増の8億2200万円だったから、一転して減益となった。売上高は13%増の76億9700万円と、従来予想を9400万円下回る。11月に入会者が減少し、売り上げが伸び悩んだためだという。
247はダイエットとボディメイクに特化したパーソナルトレーニングジム「24/7Workout」などを展開している。11月の無料カウンセリングの申し込み件数が、同業他社の値引きの影響で計画から20%落ち込み、新規入会者が減少した。出店増に備え人員の採用を前倒ししており人件費も増加した。法人税について留保金課税及び法人住民税均等割額による税負担の増加を「従来の予想には織り込んでいなかった」という。
新規に上場する企業は業績予想を慎重に見積もるものだ。上場から1カ月で下方修正するのはお粗末といわれても仕方がない。上場日の段階で期末まであと10日。小島礼大(ひろお)社長ら経営陣、主幹事証券のSMBC日興証券、会計監査法人のEY新日本は計画未達を把握していなかったのだろうか。
「上場段階で公表した数字が達成できるかどうかわからないような体制だったとしたら、業績の下方修正よりそちらのほうが問題」(新興市場に詳しいアナリスト)
業績予想の下方修正を受け、株価は当然ながら、2日連続ストップ安を交えて急落。19年の大納会(12月30日)は前日比137円(5%)安の2832円で取引を終えた。年明けの大発会(1月6日)は2814円と上場来安値をさらに更新した。1月14日には500円安の2345円と急落した。
247の公募・売り出し価格(公開価格)は3420円。初値は公開価格を11%上回る3800円をつけ、4200円で引けた。その後も株価は上昇。12月4日には6090円の高値を更新した。ところが、業績の下方修正を受け、個人投資家などの売りが膨らみ、あっという間に公開価格を割り込み、高値の半値以下、3分の1近くに暴落した。
創業者の小島社長は1980年2月生まれの39歳。2002年4月、三友システムに入社。トランスパシフィック、富士コーポレーション、インベサイドを経て独立。07年12月、健康関連商品のインターネット通販会社ヘルスアップを設立、代表取締役社長に就いた。12年10月、パーソナルトレーニング「24/7Workout」を開始。名称は24時間(1日)、7日間(1週間)毎日元気に楽しくいきましょうという意味。1号店の六本木店を東京都港区西麻布にオープン。15年11月、社名をトゥエンティーフォーセブン(247)に変更した。
ダイエットジムの費用は月額10万円程度、完全個室で75分のマンツーマントレーニングを週2回受けられるコースが主力だ。主要顧客は30~40代の男女。店舗は都内の駅周辺のビルを中心に68店ある。サービスの質を維持するため9割が直営だ。17年からは個別の英会話トレーニング事業に乗り出し、10店舗ある。公募で調達した16億円弱は新店舗の開設に充当する。21年11月期までに30のジムと、27の英会話教室を新たに開業する予定だ。資本金は7億9160万円(19年11月末時点)。小島社長は上場前に88.8%の株式を保有していた。IPO後も株式の約70%を持つオーナー経営者だ。
株式市場では、RIZAPグループ(札幌証券取引所アンビシャス上場)と似ていると囃し立てられた。株価が一時暴騰した「RIZAPの夢をもう一度」と、手持ちしていたRIZAPを売り、247を買う個人投資家が少なくなかったという。そのせいか、247の上場日までの4日間、RIZAPの株価は14%下落した。
RIZAPは積極的なM&A(合併・買収)が響いて業績が悪化、経営の立て直しを進めている。RIZAPが足踏みしているなか、一気にシェアを高めるべく247は新規上場を果たした。だが、上場直後に投資家の期待を裏切った。成長を期待して247を買った個人投資家の信頼を取り戻すには時間がかかりそうだ。
「RIZAPと247は類似のビジネスを手掛けているが、管理体制の甘さもそっくりではないか」(前出アナリスト)という声も出ている。
(文=編集部)