人気キャラクターの無料販促グッズを大量に入手して、インターネット上で転売する「転売ヤー」がまた問題になっている。今回、騒動になったのはローソンが7日から始めた、「週刊少年ジャンプ」(集英社)連載中の人気漫画『鬼滅の刃』(作・吾峠呼世晴)とのコラボキャンペーン。いったい何が起こったのか。
キャンペーンはローソン全店で7日午前7時に始まる予定だった。お菓子など対象商品3点の購入者に、同漫画の主人公・竈門炭治郎と妹・禰豆子の戦闘シーンを描いた絵柄など全5種のクリアファイルを配布するというものだった。各店計20枚の在庫を用意していたという。
事前告知されていたこともあり、ローソン各店には配布開始の午前7時前からファンが長蛇の列をつくったようだ。ところが、一部店舗ではそうしたファンへの対応に困ってか、早々に配布を開始。なかには、グッズを“独り占め”するように1人で複数枚を入手する客が現れた。そのため、本来の配布開始時間の午前7時前には在庫がなくなる店が相次いだようだ。
千葉県内のローソンの店員は次のように語る。
「ここのところ有名アイドルグループのキャンペーン販促グッズが思った以上に出ないこともあって、正直油断していました。早朝からすごい勢いでお客が来て一瞬で無くなりましたね。
昨年冬のコミックマーケットで『鬼滅』の人気が出ていることは知っていたので、うちの店ではあらかじめ経験豊富な店員でシフトを組み、1人当たり1枚という制限をさせていただきました。ただ事情を知らない高齢のオーナーが運営しているフランチャイズ店などでは、対応に困ったのではないでしょうか。加えてキャンペーン開始が早朝の時間帯だと、経験不足の新人アルバイトや店長が店番をしていることが多いので、混乱するだろうなとは思います」
一方、Twitter上では、入手できなかったファンの悲痛な投稿が溢れた。
「私の妹(4歳)。いつも朝は8時に起きるのに、鬼滅のファイルのために三日前から早起きの練習して、今日6時半にローソンに行き並びました(3番目)。そしたらなんと1番目の人が20枚全部とった。妹ギャン泣き。店員さんも注意せず。許せぬ」(原文ママ、以下同)
「鬼滅の刃ローソンコラボクリアファイル 告知通り7時ジャストにいきましたが、その時点ですでに売り切れ。どうやら、7時前に店頭に並べていたようです。せめて告知通りに対応していただきたかった」
「鬼滅の刃のローソンコラボ行ったら20枚しかクリアファイルないのに1人5枚とか書いてて、並んだのに買えなかった」
そうしたファンたちの嘆きに拍車をかけたのが、入手したクリアファイルをメルカリなどで大量に転売する人物が出始めたことだ。8日正午現在、メルカリでのクリアファイルの相場は1枚1000円前後。全5種類セットだと2000~3000円で、買い手がつくスピードも速い。
アニメや漫画のコラボキャンペーンのグッズが転売される事例は、これまでにも数多くあった。たとえば、ファミリーマートが2016年にテレビアニメ『おそ松さん』(テレビ東京系)グッズの配布キャンペーンを実施したところ、店内でファン同士の奪い合いが発生し、大きな問題になった。
人気コンテンツを利用したキャンペーンでは、あらかじめ各店舗に配布のルールや開始時刻、待機列のつくり方などの周知が必要だ。店ごとに開始時刻や配布枚数が違ったりすれば大騒動ともなり得る。果たして、今回のキャンペーンでは明確な配布ルールはあったのか。また、それは各店舗にちゃんと周知されていたのか。
今回の騒動に関しローソン広報室に問い合わせたところ、次のように回答があった。
「予定時刻前の配布やおひとりで複数枚をお持ちになられるお客様がいらっしゃったとのご指摘を受け、現在、確認を進めております。本企画を楽しみにされていたお客様には、ご迷惑をおかけし大変申し訳なく思っております。販売開始時間や制限数の徹底をはかるとともに、店舗での運用方法の見直しについて今後検討してまいりたいと考えております」
(文=編集部)