30代の転職「声かかる人・かからない人」の決定差

ところが、「経営者たち」から請われるケースは、「異次元レベル」です。「専業主婦からドムドムバーガーの社長に大抜擢(藤崎忍氏)」「ココイチ(FC)の新社長、元バイトの22歳が大抜擢(諸沢莉乃氏)」――。

経済記事の引用ですが、これらも「経営者たち」から請われたケース。衝撃的なケースなので経済記事になっているわけですが、普段から、そのようなことは、日常的に起こっています。

経営者は人材会社の前に周りで探す

実際、私のまわりを見ても、このような事例が多数あります。

Mさん……私の元部下。前職は営業職(役職なし)。彼の上司A氏が数年前に独立。A氏から事業責任者(部長)でオファーを受け転職(36歳)。Mさんは、その後、その会社の社長に(40歳)。
Kさん……私の後輩。前職では営業職(役職なし)。私の紹介で転職。私の知人(経営者)から、「事業責任者を探しているがいい人はいない?」と相談を受ける。Kさんを紹介。Kさんは、その後、社長に昇進(当時38歳)。
 

構造で考えるとわかります。まず、経営者は、つねに「人」を求めています。でも、社内に目ぼしい人はいないので、人材紹介会社に依頼をかけるわけです。また、人材紹介に声をかける前に、必ずすることがあります。

経営者は、「縁のある人」に声をかけます。見ず知らずの人より安心ですので、当然そうなります。

そんなこともあり、経営者同士の会話では、「いい人いないかな……」、の話題が常に飛び交っています。30代以降は、「経営者が欲しがる人材」になれるのであればなっておいたほうが、間違いなく飛躍のチャンスをつかみやすいのです。

人材紹介に登録しておいてもいいでしょう。しかし、同時に、社外の経営者から声がかかる人材になることは、タイパがいい選択でもあるのです。

では、どうすれば、社内・社外問わず、経営者たちから声がかかる人になるのか。むろん、いくつかの条件はあります。

条件① 実績を出していること
条件② 周囲と良好な関係が築けること
条件③ 求められる成果から「逃げない人」
 

まず、この3つは必要です。しかし、できていても、声が「かかる人」と「かからない人」に分かれます。それは、「フォロワーシップ」がある人かどうか、です。フォロワーシップとは、上司をサポートするスキルであり、姿勢のことを言います。別名、「できる部下力」とも称されるチカラ。組織や会社の課題を解決するために、上司をサポートするわけですから、まさに「できる部下」の姿でしょう。

優秀な人でありながら、チャンスをつかめていないな、と思う人はいませんか。だとしたら、その人たちは、「自分のため」に頑張っていないでしょうか。きっと、経営者の多くは、社員に「自分のために頑張れ」とよく言います。でも、経営者が抜擢したい人材に求めるのは、もう一段、上のレベル。波長が合うかどうかです。

では、波長とは何か。「一緒に事業を成長させるために頑張ってくれる」かどうか、です。そのバロメーターとなるのが、「フォロワーシップ」というわけなのです。もし、あなたが、社内はもちろん、社外から声がかかる人になりたいのであれば、普段から「フォロワーシップ」を高めておくことは、お勧めです。

フォロワーシップを高めるには?

ここで、フォロワーシップを高める具体的なアクションを紹介しましょう。上司と「コミュニケーションの機会」を持つ普段から、直属の上司と会話の機会を持つことが肝心。

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さらには、上司の上司と会話をする機会を持てば、もっと全体の課題が見えてきます。会社が直面している課題の優先順位を把握できますので、必要とされているサポートを理解しやすくなります。

その上で、自分ならどのように貢献できるかを考えます。例えば、新人育成に上司が課題を感じていたら、どんなサポートができるのか。顧客満足に課題を感じていたら、職場で何ができるのか。

私は、フォロワーシップ研修を多くの企業で行っていますが、フォロワーシップを発揮している人は、2割程度。「意識をしたことがなかった」という人がほとんどです。私もそうでした。30歳くらいまでは、自分のために仕事をしていました。「責任者になりたいのは、自分が成長できるから」、そんな邪な気持ちだったように思います。

これでは「仕事はできても、波長が合わない」なんてことにもなりかねません。30代以降は、いかにフォロワーシップを発揮できるかが、大きな差になるのです。