『ゴッドタン』『あちこちオードリー』『トークサバイバー!』シリーズなど、数多くの人気バラエティ番組を手がけてきたテレビプロデューサーの佐久間宣行。テレビ、YouTube、ラジオなど各種メディアを横断して活躍する、もはや説明不要のヒットメーカーだ。
テレビ東京から独立して約3年半。今やバラエティの作り手としてだけでなく、書籍や雑誌で「仕事の悩みに答えるビジネスパーソン」としての顔も支持されている。佐久間が導く答えを皆が求めるのはなぜなのか。
会社員とフリーランス、両方の経験を活かし、これまでさまざまな仕事術を発信してきた佐久間。今年は7月に『ごきげんになる技術 キャリアも人間関係も好転する、ブレないメンタルの整え方』(集英社)、11月に『その悩み、佐久間さんに聞いてみよう』(ダイヤモンド社)と、2冊のビジネス書を立て続けに刊行した。
著書の中で彼が一貫して伝えてきたのは、「メンタルをすり減らさず、楽しくはたらく」ための仕事との向き合い方である。市場や環境の変化が激しい現代、メンタル面の悩みや不安を誰しもが抱えている。そんな中で、メンタルヘルスの専門書とはまた違う、“はたらく人の目線に立ったメンタルの悩み解消法”を教えてくれるのが佐久間の本ならではの魅力である。
最新刊『その悩み、佐久間さんに聞いてみよう』にも、メンタルの悩みに関する章がある。「失敗が不安で眠れません」という質問に対して、佐久間はこのように答えた。
このアドバイスには、自身も元々ネガティブで、心身を壊さない仕事との付き合い方を模索してきたという佐久間ならではの実感が見える。彼の仕事術は、企画書の作り方や組織での立ち回り方と同じように、仕事に向き合うメンタル面の知恵と工夫を教えてくれる。だからこそ、悩み多き時代を生きるビジネスパーソンに刺さるのである。
佐久間の仕事論が机上の空論ではないことは、メディアでの振る舞いを見ていてもよくわかる。その1つとして取り上げたいのが、著書の中で度々重要性を語っている「仕事相手のメンツをつぶさない」気遣いである。
ちなみに補足すると、メンツをつぶさない=媚びやご機嫌取りを意味するものではない。それは自分が仕事をするにあたって障壁を作らないための“戦略”の1つで、他者への敬意を示すものでもあると彼は語っている。
そんな主張を体現していると感じたのは、先月、和田アキ子がパーソナリティを務めるラジオ『ゴッドアフタヌーン アッコのいいかげんに1000回』に佐久間がゲスト出演したときのこと。トークが弾んだ中盤、和田から「(私の)何が怖いですか?」と、セルフイメージに関する直球の質問が飛び出し、場は笑いに包まれた。
この質問に対して佐久間は「芸能界の大御所は、ほぼ全員、どこが地雷かわからないのが怖い」「(和田は芸人ではないので)どこまで踏み込んでいいかわからないから、結果(周りが)緊張しているように見える」と冷静に分析。これに和田は納得の反応を示していた。