検索エンジンの世界シェアの約9割を誇り、ビッグテックの一角として君臨するアメリカ・アルファベット社(Google)。近年は、マイクロソフト社とのAI開発競争でも注目を集める同社ですが、直近の業績はどうでしょうか。
過去5年分の損益計算書をみると、売上は1.9倍に拡大。当期(23年12月期)は過去最高の43.3兆円を達成しました。
決算資料(10-K)によると、同社の売上は、「Googleサービス」「Googleクラウド」「その他」の3つで構成。うち、サービスからの収益は前期比7.5%増の38.4兆円で、売上の88.7%を占めます。
サービスからの収益は、さらに「Google検索ほか」「YouTube広告」「ネットワーク」「サブスクほか」の4つのセグメントに分けられます(→下円グラフ)。
「Google検索ほか」は、Google検索、Gmail、Googleマップなどに表示される広告から得られる収入(※1)のことで、20年から21年にかけて一気に6.3兆円(42.9%)も増加(→下棒グラフ)。
※1 同社の広告収入には、主に「Google検索ほか」で広告がクリックされた回数に応じて報酬が支払われる「ペイパークリック」と、「ネットワーク」のAdMob、AdSenseなどで広告が表示された回数に応じて報酬が支払われる「インプレッション」がある
これはコロナ禍の巣ごもり需要でオンライン消費(ペイパークリック数)が急増したためです。当期は、前期から7.9%増加し、24.7兆円に。これにYouTube広告、ネットワークを合わせると、売上の約8割を広告事業から得ていることがわかります。
また当期は、AIサービス拡充によりGoogleクラウド(※2)の収益が4.7兆円(前期比25.9%増)と躍進したことも売上増に貢献しました。
※2 AIによるビッグデータ解析、機械学習、コンピューティングなど、従量課金制で利用できる業務効率化サービス
次に、費用をみてみましょう。当期の売上原価は18.8兆円で、うち約4割を「TAC」(トラフィック獲得コスト※3)が占めています。これは要するに、社外のサイトやアプリを通じて広告の閲覧やクリックがあったときに、社外パートナーに支払う分け前(場代)のこと。
※3 正確には、広告主のサイトを訪れる客数(トラフィック)を獲得するための費用。外部サイトやアプリ運営者へのマージン、各種ブラウザへの検索エンジン搭載費用などを含む