なお、ほかの家庭用ゲーム機も下位互換をなるべく大事にしている。PlayStation 5は下位互換ありで、PlayStation 4のほとんどのタイトルを遊べる。
Xboxは下位互換にかなり力を入れており、1世代前のXbox Oneのみならず、Xbox 360、初代Xboxのゲームを遊べるケースもある。
インターネットが発達した結果として、家庭用ゲーム機においてもユーザーそれぞれのアカウントは財産のひとつとなっている。可能であればライブラリを引き継げるほうが嬉しいのは間違いない。
とはいえ、気になることもある。任天堂においては、下位互換がある直近のハードはそこまでうまくいっていないのだ。
約1億5000万台売れたニンテンドーDSのあとに、互換性を持つニンテンドー3DSが発売された。これはヒットした部類だが、全世界で約7500万台と控えめな数字に落ち着いている。
世界で1億台売れたWiiの互換性を持つWii Uは、たった1356万台。残念ながら売れなかったと言ってしまっていいだろう。
もちろん、一概に下位互換が悪なわけではない。前述のようにWiiはかなりのヒットを記録したが、実はひとつ前の世代であるゲームキューブの下位互換を備えている。ただ、現在はこれが懸念点になる。
というのも、任天堂の次世代機が単なるNintendo Switchの後継機となってしまうと、苦しい状況に追い込まれる可能性が考えられるからだ。
まず、過去のゲームソフトもライバルになりうる。たとえばNintendo Switchの『マリオカート8 デラックス』は全世界で6427万本も売れているモンスター級のタイトルだ。
しかしこの作品、実はWii Uで発売された『マリオカート8』に要素を付け加えたものであり、そのころから考えると10年以上、『マリオカート8 デラックス』から数えても7年が経過しており、長寿作品でもある。
ゲーム好きとしてはそろそろ『マリオカート9』が出てほしい頃合いなのだが、『マリオカート8 デラックス』はコンテンツの追加やアップデートが地道に行われており、まだまだ勢いがある。2024年4~9月の期間にはなんと231万本も売れているのだ。
『マリオカート』シリーズなど一部の任天堂のゲームは、新作が発売されたあとに過去作が売れてランキングに入るといった特殊な動きをすることがある。『マリオカート8 デラックス』が超ヒットになったのは素晴らしいが、ずっと遊べるとなると新作の邪魔になりうるわけだ。
そもそもNintendo Switchで発売されているゲームソフトでは、Wii Uであまり目立たなかったソフトに再びスポットライトを当てているケースも多い。
『スーパーマリオ 3Dワールド + フューリーワールド』『ピクミン3 デラックス』、そして2025年3月に発売される『XenobladeX Definitive Edition』など、Wii Uのソフトに手を加えてNintendo Switchで改めて発売することによってラインナップを充実させているわけだ。