昔話や故事成語にもストーリーがありますが、実はストーリーがあると情報の理解と記憶が深まると言われています。例えば「最近、日本酒を勉強しているんだけど」と手前の経緯を伝えたり、「結末が予想できなすぎるって話題になってる映画があって」のように、行った後のプラスの未来を伝えたりしてみましょう。
誘われた意図も分からないし、何をしに行くのかも分からない。そんな状態で前のめりになれる人は少ないものです。ぜひ、時間軸を前後に広げてみましょう。
業務連絡にならないよう気をつけましょう。誘いたい、一緒に出かけたい、来てほしい、という思いが強すぎると早くそれを共有したくて、極めて端的なフレーズになってしまいがちです。
「デートしませんか?」「食事でも行きませんか?」「ぜひ一席設けさせてください」は、プレゼンで言うところの結論です。結論から話すのはいいのですが、それだけだと業務連絡のような無味無臭なメッセージになってしまいます。
どこに行きたいのか。なんでそこに興味を持ったのか。どんな体験が待っているのか。そうした情報を伝えましょう。なぜお誘いしたいのかを添えるのもよいでしょう。相手は誘いに対して、行くか行かないかをいろんな角度から検討することができます。
例えば、同僚をランチに誘う際に、「一緒にランチしませんか?」と言うよりも、「新しくできたレストランのクーポンがあるんだけど、一緒に行ってみない?」と提案することで、より自然な形で誘えるようになるはずです。
直接的な要求は、一方的な押し付けです。ですが、選択肢を提示したり、理由や見どころなど前後のストーリーをきちんと添えたりすれば、それは「提案」になります。お誘いは、関係を築くための第一歩。ぜひ意識してみてください。
普段ほとんど話したことがない。そんな相手と、ぜひランチに出かけてみたい。「お昼の時間、空いてますか?」とまずは予定を確認したくなるかもしれません。目的や背景が分からないままでは、どうしても意図や意味をいろいろ想像してしまいます。関係性が深くない上に情報が少ない中での想像はたいてい、ネガティブな方向に広がってしまいます。
「人気のあの店、ランチなら安いんです」という情報があれば、こちらのお誘いの魅力がすぐ伝わります。近所に新しくできたお店や、共通の知人がおすすめしていたなど、ささやかな発見を盛り込んでみましょう。そうすればもし予定が合わなくても、「気になるので、日を改めて」と次の約束につながることもあるからです。
お昼なんてもっとラフに誘ったらいいじゃないか、と感じる方もいるかもしれません。でも、食事制限をしていたり、アレルギーなどの事情でお店選びに慎重だったりする方もいます。食事はサクッと済ませて午後の準備に使いたい方もいます。お昼休憩は、同じ職場であれば全員が持っている時間ですから、使い方も人それぞれ。自分だけの物差しで判断せず、相手のプラスになるお誘いを心がけましょう。
新卒の頃、夜遅くに鳴る会社の電話には気をつけろと先輩が教えてくれました。2次会に向かう大先輩が、律儀に電話を取る若手を夜の街へと誘う電話だからです。さすがにそんなことは令和になかなかないと思いますが、どうしても急なお誘いのシチュエーションはあるでしょう。
「今日飲み会あるんだけど、来ない?」と予定と意思をいっぺんに確認したくなるかもしれません。ですが、そもそも急であり、相手に負担のあるお誘いだということは忘れてはいけません。