仕事の無理難題「できる」に変える2つのステップ

例えば、「日常生活のなかで、食事をつくる際に『八宝菜の素』といった“合わせ調味料”に頼ることがある。これを使えば簡単においしいおかずができて便利。しかし、じつは市販の調味料を自分で買い揃えて調合したほうが、圧倒的にコストは安い。しかも、調味料を調合するのはそんなに手間がかからないし、ノウハウもいらない。これと似たようなケースで、コストダウンができないだろうか」などなど。

このような発想や取り組みを積み重ね、当初は不可能と思われていた製造原価の半減に成功しました。この原価半減プロジェクトは、自ら極端な条件を設定し、新たな発想を生み出し、ブレイクスルーを引き起こした事例とも考えることができるでしょう。

できない理由や制約条件が、新たな発想やブレイクスルーのヒントとなり、成功条件に置き換わることが多々あります。

制約条件の力を借りるために、原価半減プロジェクトのように、自ら極端な条件を設定することで、新たな発想を生み出し、ブレイクスルーを引き起こしていきましょう。

極端な制約条件を設定するコツ

限界や常識の枠を取り払う「問いかけ」を自らにしてみるといいでしょう。

例えば、
・大胆な問いかけ=
「原価を半減させるとしたら?」
「半分の人員で対応するとしたら?」
「半分の時間でやり遂げるとしたら?」
・極端な問いかけ=
「もし、3倍の発注が来たら?」
「もし、先輩たち3人が同時に育休を取ることになり、上司と2人だけになったら?」「この部品や、このプロセスをなくしたら?」

日々の小さいカイゼンの積み重ねも大切ですが、自分たちの限界や常識の枠を取り払うことで、抜本的なカイゼンを生み出すことを考えることも大切です。

・STEP 2 大マジメに解決策を考える

極端な制約条件を設定したら、次はそれをクリアするための方法、解決策を大マジメに考えてみます。具体的には、解決された状態と現状とのギャップを明確にし、そのギャップに対して「なぜ?」と問いかけてみます。

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フレッシュな気分で、理想像と現状のギャップが大きい部分に、「そもそもなぜ現状はこうなのか?」と問いを立て、思考を加速させていくのがポイントです。

そのうえで、「どうしたら、できるのか?」と視点を変える問いかけを用います。その際、「なぜ、できないのか?」「なぜ、うまくいっていないのか?」というような「できない理由」や「できていない理由」を探す方向に行かないように注意します。

コツとしては、「もし、あなたが社長だったら、このギャップをどうカイゼンしますか?」

というように、「もし、いまの会社が『業界最大手企業』だったら?」「もし、10年後の自分だったら?」「もし、この制約条件こそが成功条件に変わるとしたら?」というように、柔軟な発想で視点を変えながら問いを立てていくのがポイントです。