進次郎氏を「レベル低い」という人に伝えたいこと

小泉進次郎
“想定外”の失礼な質問も、うまく切り返した小泉進次郎氏(写真:Bloomberg)

自民党総裁選に立候補した小泉進次郎議員が、記者会見で“神対応”を行って評価を上げている。

9月6日に都内で行われた出馬を表明する記者会見で、小泉議員はフリーの記者から「小泉さんが首相になってG7に出席されたら知的レベルの低さで恥をかくのではないか。(中略)あえて総理を目指されますか」という質問を受けた。

これに対して、小泉議員は「私に足らないところが多くあるのは事実。完璧ではないことも事実です。しかし、その足りないところを補ってくれるチーム、最高のチームを作ります」と回答した。

この切り返しの秀逸さが賞賛を浴び、小泉議員は株を上げる結果となった。

好感度アップの秘訣は「謙虚であること」

記者会見という場で自分の間違いや非を責められた場合、なかなか認めることは難しい。記者から厳しい質問を受けた際に、つい厳しい言葉で言い返したり、相手の主張を否定したりしがちである。たとえ、記者の質問が無礼であったり、ピント外れであったりしても、そのような態度は逆効果になることが多い。

小泉議員は、自分の足りないところを素直に認め、しっかりとそれをカバーする対応策も提示している。記者に反論することなく、「知的レベルが低い」という懸念を払拭する結果にもなっている。

今回の件で、思い出したのが、2018年のサッカー・W杯での本田圭佑選手(当時)の対応だ。本田選手は、テレビのインタビューで「清々(すがすが)しい」を「きよきよしい」と誤読してしまい、それが、SNS上で突っ込まれていた。

これに対し、本田選手自身はTwitter(現X)で「お恥ずかしい。漢字が苦手で。でも、もうしっかり覚えました」と投稿した。

自分の誤りを素直に認め、学ぼうという姿勢を示したことで、本田選手の好感度はむしろ高まったと言える。

政治家で言えば、故・小渕恵三氏もメディア対応をうまくやっていたように思う。小渕氏は、首相就任前後には「凡人」「冷めたピザ」などと揶揄されていた。

しかし就任後はそれを逆手にとって記者に温かいピザを出したり、言葉足らずであるという批判に対して「ボキャ貧だからな、おれは。ボキャブラリーが貧困だからいい言葉がなかなか出てこない。お疲れ様の一言だ」と発言したりして、最終的には好感度を上げることに成功した。歴代の首相と比べても、「愛される首相」であったと言えるだろう。

小泉議員に話を戻すと、2019年に開催された国連の気候変動サミットでの発言あたりから、メディアで叩かれることが多くなっている(ちなみに、この年にアナウンサーの滝川クリステルさんと結婚され、注目を浴びている)。

最近では、小泉氏の独特な言い回しは「ポエム」「進次郎構文」と呼ばれ、インターネットミーム化(ネット上で人々が模倣して広がっていくネタ要素の強い文章や動画、画像のこと)に至っている。

だいぶ前のことになるが、筆者は小泉議員の講演を直接聞いたことがある。現在メディアで報道されているのとはだいぶ異なり、非常に明晰でカリスマ性のある人物だという印象を受けた。「いずれ、この人は総理大臣になるんだろうな」と思わずにはいられなかった。

筆者の当時の印象が正しいか、メディアの報道が正しいかはさておき、少なくとも「知的レベルが低い」と言われるような人物ではないことは、今回の切り返しから見ても確かではないかと思う。

小泉進次郎
一方、“失礼質問”したジャーナリストも注目され、自身のニュースサイトに記者会見についての見解を綴った(画像:田中龍作ジャーナルより)

メディア対応で評価を下げる人のほうが多い