誰もが知らず知らずのうちに、先入観にとらわれてしまうものですが、UFOや宇宙人について考える上で、いちばん大切なのは思い込みを捨てることです。
宇宙人がいるかどうか、いるとしたらどんな姿なのか、答えはまだ誰にもわかりません。誰かがつくりあげたイメージに左右されずに、冷静かつ柔軟に考えていく必要があります。
まずは空飛ぶ円盤やグレイのイメージから脱却することを目指しましょう。
UFOの目撃報告を冷静に見てみると、たいていのものは説明がつきます。
過去に、アメリカ空軍が1万件以上のUFO目撃報告(1947~69年)について徹底的に調査したところ、じつに94%が「見間違い」であることがわかりました(ちなみに現在アメリカ政府やNASAは、UFOでなく、UAP「Unidentified Anomalous Phenomena:未確認異常現象」という言葉を使っています)。
いったい、何と見間違えたのかといいますと、飛行機や恒星・惑星、隕石、人工衛星から風船まで、多岐にわたっています。
こうしてみると、空には紛らわしいものが多くありますね。
2021年のアメリカ政府の報告書によると、米軍パイロットが目撃したUFO144件のうち1件が気球と判明し、あとはデータ不足で正体不明だと結論づけられました。
整理すると、地上から目撃されたUFOは94%が説明できるけど、空中でパイロットが目撃したUFOはほとんどが正体不明だったということです。
では、地上から目撃されたUFOの正体不明の6%や、パイロットが目撃したUFOは、宇宙人なのでしょうか?
もちろん、すべてのUFOに説明がつくわけではありません。だからといって、説明がつかないUFOを宇宙人の乗り物と決めつけることもできません。UFOの目撃は「ただ正体不明の飛行物体が見えただけ」ということにすぎないのです。
現在、NASAはUFO研究の責任者とメンバーを任命し、データの収集と分析に取り組んでいます。
宇宙の専門家集団であるNASAが「本気モード」になっているということは、宇宙人が存在する可能性はゼロではないのでしょうか。
残念ながら科学的な見解としては、「UFOは宇宙人の乗り物である」という説を支持する証拠があるとは考えられていません。
なぜなら科学とは、次の3つがそろって初めて成り立つからです。
UFOが「宇宙人の乗り物である」という説には、この3つを備えた証拠はありません。
だからといって、UFOは「宇宙人の乗り物である」という説が間違っていると断言できるわけでもないのです。
いまはまだ科学的な証拠がないだけで、実際にはそれが正解だという可能性もあります。
そんな回答ではモヤモヤしますよね。
でも、とにかくUFOには慎重になる必要があります。
ひとつ言えることは、UFOや宇宙人について考えるときは、思い込みは捨てたほうがいいけど、希望まで捨てる必要はないということです。
だからこそUFOにはロマンがあり、人を惹きつけて止まないのでしょう。NASAの研究は2023年に始まったばかり。これから「驚くような事実」が発見されるかもしれません。
さらに次回は、宇宙人の存在に関する科学者の見解を解説していきます。