ドイツで開催されているサッカーのEURO2024で、スペイン代表が若さを武器に快進撃を続けている。日本時間7月10日未明に開催された準決勝でフランスを破り、12年ぶりの優勝に王手をかけた。
今大会のラ・ロハ(スペイン代表の愛称、「赤」という意味)はとにかく若い。中でも注目を集めているのが名門バルセロナ所属、16歳のラミン・ヤマルだ。EURO決勝の前日(7月13日)に17歳を迎える。
スペインでは小学6年、中学4年までの10年間が義務教育期間となるため、ヤマルは中学4年をこの6月末に卒業したばかり。
国内でも「スペイン代表を担うエースが中学生」なる事実はいまだ衝撃をもって伝えられており、ドイツ入りしてからも宿舎のホテルで中学校の宿題やレポート作りに追われていたニュースが大きく報じられていた。
16歳ながら完全にスペイン代表の主力エースとして活躍するヤマルはあまりに特別な存在すぎるが、彼と同じく今大会のスペインの顔となったニコ・ウィリアムズは21歳、司令塔のペドリも同じく21歳と若い。
一方の日本代表はというと、世界水準で見れば若いとは言えない。現在の日本代表(FIFAワールドカップ26アジア2次予選シリア戦)の最年少と言えば、2001年生まれの久保建英や鈴木唯人だが、彼らは今年23歳だ。
メッシやクリスティアーノ・ロナウド、ムバッペといったサッカー界のスター選手が10代から世界のビッグクラブで頭角を現していたことを考えると、日本から「大谷翔平クラス」の存在感を出す選手を望める状態にはまだない。
ではなぜ、スペインでは若いタレントが生まれて、日本では生まれないのだろうか。最大の違いは「幼い頃から通年のリーグ戦があるか」だ。
日本の小学生サッカーの問題点をスペインと比較しながら見ていこう。
筆者の息子たち(現在小2と小5)は日本で幼稚園児のときから地元の少年団に入会してサッカーをしていた。しかし、次男が小1だった昨年度、公式戦の試合を二桁も戦っていない。
春と秋に区大会・市大会があるが、クラブに何人所属していようと公式戦にエントリーできるチーム数は1クラブから1つか2つ。必然的に出場機会は限られる。大会はまず数チームでのリーグ戦をした後、上位チームが一発勝負の決勝トーナメントを戦う。当然ながら強いチームほど試合数は多くなる。
そしてこのような大会はあるものの、年間を通したリーグ戦はなく、基本的には毎週末に練習試合やワンデーの大会などに参加する。
一方、スペインではトーナメント方式の試合はなく、総当たりのリーグ戦方式が採られている。中高生年代のトップレベルになれば負けたら終わりのカップ戦なども入ってくるが、基本はレベル別にリーグ戦を年間通して行う。
例えば、息子たちが来年度からプレーするバレンシア州の男子8人制サッカーでは、小6のカテゴリーはレベル別に4部制で、さらにそれぞれの部の中にはグループが複数ある。
1グループには大体12~15チームが入り、ホーム&アウェイで年間22~28試合を戦う。9月から翌年5月までの9カ月をかけてリーグ戦を戦うため、練習試合なるものが入り込む余地がない。