「仕事を選ぶ人」は幸せになれない“残念な真実”

ビジネスパーソンが並んだ様子
「量より質」と言いますが、果たして仕事にもそれは当てはまるのでしょうか(撮影:今井康一)

「人はなぜ、働くのか?」。この永遠の問いに、「幸せになるため。ナイスな日々を過ごすためである」と、朝日新聞記者でベストセラー『三行で撃つ』の著者である近藤康太郎氏は答えます。

一日の大半、人は〈仕事〉をしています。毎日をハッピーに過ごすには、「好きな仕事の比重を増やすこと」と「好きでない仕事を面白くすること」が重要だと言います。では、どうすれば仕事が面白くなるのか、好きになれるのか。

近藤氏がこれまでの仕事人生で見いだした、仕事を面白くするためのコツについて、新著『ワーク・イズ・ライフ 宇宙一チャラい仕事論』より、一部抜粋・再構成のうえお届けします。

すべての発注にYESと言う

仕事をするうえで大事なこと。それは、局地戦を戦うなってことです。

たとえばライター仕事でいうと、発注された記事を出稿すると、原稿を受け取ったデスクが勝手に直す。そういうやつ、けっこういるんです。

自慢話になっちゃうんですが、わたしは27、28歳のころから、ほとんど原稿が直らなくなった。一文字も変更されない。でもそれは、例外中の例外です。

わたしのところで仕事や勉強を学んでいる子たち、20代、30代の売り出し中の記者、フリーライターは、そりゃあもう、原稿は直されまくります。

彼女、彼らが望めば、事前に原稿を見てあげることもある。デスクに出稿する前にわたしが見て、アドバイスする。

わたしがその原稿を見て、「オーケー。おもしろくなったね」と、ある程度まで完成稿になったとしましょう。その原稿を、なにも知らないデスクがけっこう直す。文章もそうだけど、構成を大きく変えたりもする。

それで、案の定、下手になってるんです。文章の基本が崩れていたり、構成が弱くなってスピード感が落ちていたり。すると、若い子たちは「近藤さん、これ直されちゃったんです。前の方がいいと思うんです」って文句を言う。

絶対、そんな文句を言うな。下手になってていい。「ありがとうございました。勉強になりました」とにっこり笑って頭を下げていろ。

文章をいじられて、下手になってしまった。そんなこと、小さなことなんです。局地戦を戦うんじゃない。ビッグピクチャーを見ろ。

NOと言わない。すべての発注にYESと言う。それで、なにがしたいんですか? 最終目的はなんでしたっけ?

幸せになりたいんですよね。〈仕事〉によって、ハッピーに、ナイスになるんですよね。

もう少し具体的に考えると、「いいライター」になりたいんですよね? いろんな媒体から発注が来るようなライター。原稿を出すたびに「おもしろい」「独自だ」と言われるライター。やがて、大きなテーマを書ける。ライフワークを見つけられる。それがビッグピクチャーですよね。