TVerなどの配信サービスはスマホで見られることが多く、テレビで人気の根強い家族向けの番組よりも、大人向けのドラマなどが多く再生される傾向にある。そのため最近では、深夜枠で配信に強いドラマコンテンツを投入することで、その後のTVer収入の拡大につなげる戦略をとるテレビ局が増えている。
昨年は、莫大な制作費を投じたとされるTBSのドラマ「VIVANT」が大ヒットとなった。一方、視聴率では伸び悩んだフジテレビのドラマ「あなたがしてくれなくても」がTVer総再生回数では5600万を超え、TVerアワード2023において「VIVANT」を差し置いてドラマ大賞を受賞している。
テレビでヒットした作品はTVerでも見られやすいが、TVerで見られる作品は必ずしもテレビでヒットしているわけではないという非対称性が読み取れる。
テレビ広告収入に比べて配信収入が圧倒的に少ない現状では、手堅く視聴率をとれる番組を作りつつ、配信向け番組を強化していくという、絶妙な番組編成の舵取りが求められることになる。
視聴率とTVerの再生回数という二兎を追い、死の谷を越えられるのか。厳しい戦いになるのは間違いなさそうだ。