『理科ダマン』はもともと、『離さないで!精神線』という、日本の『ちびまる子ちゃん』のような中高生向けギャグ漫画だった。
「『離さないで!精神線』の読者層を調べると、意外にもコア読者が小学生だったんです。それなら小学生が気軽に楽しめる教育漫画を作ろう、と考えました」
そう話すのは、漫画を手がけるナ・スンフン氏だ。
「韓国は教育熱が非常に高い。本格的な受験勉強を始める前に、子どもに学ぶ楽しみを知ってもらい、自ら進んで勉強するようになってほしいと考える保護者は多い」(ナ氏)
韓国は、「名門大学に入り、大企業に就職することが人生の成功だ」と言われるほどの学歴社会。実際、韓国の大学進学率は71.9%(2022年)と、OECD加盟国でもトップを誇る。
「全教科に興味を持ってほしい」という保護者の強いニーズがあるなか、テーマを科学に絞ったのは、作画のナ氏と原作者のシン・テフン氏の双方とも、科学ドキュメンタリーが好きだったから。
ナ氏は「科学漫画なら面白く描ける」と考え、制作に取り掛かったという。
『理科ダマン』の主人公は、科学の天才大学生のシン。妹のジュリやいとこのグゥ、パパとママがトラブルを巻き起こし、科学の知識で解決するストーリーだ。
登場人物のドタバタ劇や、ちりばめられたギャグはもちろん、「なぜおならは臭いのか」、「うんちをしなかったらどうなるの?」といった、子どもたちが喜びそうな科学ネタも大きな魅力となっている。
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私も読んでみたが、「電線に止まった鳥が感電しない理由」や「急に走ると横腹が痛くなる理由」など、大人でも説明できないような科学知識も紹介されていた。
子どもだけでなく、大人も楽しめる科学ネタは、どうやって見つけているのだろうか。
「まず、小学校のカリキュラムから、物理や生物、科学などさまざまなテーマを数百個以上選び、そこから小学生が面白がってくれる質問、そしてストーリーを考えます」(ナ氏)
例えば「鼻」がテーマなら、まず「なぜ鼻くそができるの?」といった質問を作る。
そこから「もし大きな鼻くそを作り、弾丸のように発射したらどうなるのか?」、「照明のスイッチをめがけて鼻くそ弾を打てば、消灯できるかも」と、ストーリーにつなげていく。
ストーリーを考えるクリエーティブな時間が「一番楽しい」(ナ氏)そうだ。