ドラマ「不適切にも…」で考えた“炎上”問題の本質

一方で、番組を視聴しておらず、批判だけをしている人たちの声をどれだけ真剣に受け止めるべきなのかは検討の余地がある。批判の声を集めていると、それが世論、すなわち世の中一般の人たちの意見であるかのように勘違いしてしまいがちだが、実際はそうでないことの方が多い。

SNS上の批判の声やコタツ記事は、広く拡散して問題が多くの人に知れ渡ってしまうことも多いので、決して無視してよいわけではない。しかし、それにあまりに影響されすぎてしまうと、問題の本質から外れ、問題解決からかえって遠ざかってしまうこともある。

上に述べた1から4のプロセスが重要であり、問題の本質からズレた批判や、世の中一般の声とも言えない意見に対応することは、二の次、三の次の課題である。

当事者ではない人たちも、悪意ある批判や、きちんと裏取りされていないようなコタツ記事に安易に同調したり、拡散したりしないように心がける必要がある。“炎上”に加担することは、自分たちにとってより窮屈で生きづらい社会を作ってしまうことに加担することでもあることを、肝に銘じておきたい。

また、メディアやプラットフォーム(SNS運営企業など)側、あるいは行政も不要な炎上を生み出したり、過度に批判を増幅させてしまわぬよう、具体的な対策を講じる段階に来ているのではないだろうか。