人間が生きていく以上、人との会話を避けて通ることはできないが、そうしたコミュニケーションに苦手意識を持ち、悩んでいる人は少なくないだろう。たとえば……
・相手の考えていることが読めず、会話の主導権がとれない
・もっと情報を引き出したいが、会話を深掘りできずに終わる
・一対一の打ち合わせや交渉ごとで、いつも言いくるめられてしまう
・会って話すたびに自分の評価を下げている気がする
自分は話し下手だからこうなってしまうのだと多くの人が思っているが、それは違う。コミュニケーション巧者は、うまく話すことよりも、コミュニケーションに便利な「あるものの使い方」を知っている。コミュニケーションに悩む人たちにとって、救世主となりうる「あるもの」。それが「質問」だ。
では、質問にはどのようなメリットがあるのか。
これからますます、質問のうまさが成功や人生の豊かさに大きな影響を及ぼしていく。今はその転換期に来ていると言ってもいい。
ご存じのように、チャットGPTをはじめとする生成AIに注目が集まり、ビジネスで不可欠なものになろうとしている。チャットGPTから有益な情報を得るには、適切な問いが必要だ。より精度と密度の高い答えを得るためには何を尋ねればいいのか。今は「どう聞くか?」がますます問われる時代なのかもしれない。
生身の人間との会話では、AIとの会話同様に有益な情報をもたらしてくれるのみならず、質問によるコミュニケーションが人間関係にもよい影響を及ぼす。鋭い質問1つで、急に相手の口と心が緩み、相手の懐にするりと入り込める。反対に、たった1つの質問がきっかけとなり、一瞬で警戒モードになって口も心も閉ざしてしまうこともある。
うまい質問の仕方を知っていれば、交渉、説得、相談、打ち合わせ、雑談等、どのような状況においても、コミュニケーションを自分の土俵へと持ち込める。もちろん、相手にとって話しやすい環境を整えることにも貢献するので、会話が盛り上がり、互いにとって楽しく、有意義な時間を過ごせることになる。
質問は多くのメリットを持つ最強のコミュニケーション技術だが、ここでは、最も基本的な目的である「相手から有益な情報を得る」ために、使い勝手の良いフレーズと型を2つ、ご紹介しよう。