そして、3つ目のポイントが「実写映画になる」ということである。原作がゲームであるならば、3Dグラフィックを生かした映画になるのは想像にたやすい。しかし、あえての実写なのだ。
当然ながら、ゲームらしい世界をそのまま実写にしてしまえばおかしい画ができてしまう。視聴者が納得できるような、しかし同時にゲームらしい世界を描かねばならないわけで、よりハードルが高くなるのは当然のことだろう。
映画『ゼルダの伝説』の制作はArad Productionsが担当。『メイズ・ランナー』シリーズや、2024年公開予定の『猿の惑星/キングダム』を手掛けるウェス・ボールが監督となっている。
Arad Productionsはアヴィ・アラッドによって設立されたスタジオだ。彼はマーベル・スタジオの創設者であり、映画『スパイダーマン』シリーズや『アイアンマン』にも関わっている。映画『ゼルダの伝説』ではプロデューサーとして関わると発表されている。
もちろん、任天堂も制作に深く関与するうえ、宮本茂もプロデューサーとして作品に携わる。実写化のハードルは高いだろうが、制作スタッフの面でも期待できるわけだ(ただし、海外ではアヴィ・アラッドの参加を不安視する声もある)。どう転ぶかは未知数なものの、注目が集まるのは間違いない。
最後の理由は、映画制作費についてである。本作の制作費は50%以上を任天堂が出資、そして全世界の配給と共同出資をソニー・ピクチャーズが行うことが明らかになっている。
言うまでもなく、ソニー・インタラクティブエンタテインメントはプレイステーションを手掛けており、任天堂とは家庭用ゲーム機のライバルと言えなくもない(直接的なライバルはXboxのマイクロソフトだが)。
ゆえに、ユーザーのなかには「任天堂とソニーが手を組む」という点で驚いている人もいるようだ。もっとも、ソニー系列の会社が任天堂のゲームに関わることはままあることではある。
例えば、ソニー・ミュージックエンタテインメントの完全子会社であるアニプレックスはNintendo Switch向けにゲームを出しているし、そのタイトルによってはNintendo Switch独占であるケースも存在する。ゆえに任天堂とソニー系列会社が手を組むのはありえる話なのだが、驚くユーザーもいるのは事実である。
『ゼルダの伝説』の実写映画化はあらゆる部分に盛り上がる要素が存在しており、大騒ぎになるのも当然のことである。はたして期待に応える作品になるのか、公開が待ち遠しいかぎりである。