タイトーが2017年から展開を始めた「タイトーオンラインクレーン」は、コロナ禍が明けて以降も好調が続く。オンラインクレーンゲームは硬貨ではなくポイントでプレイする仕様だが、タイトーはタイムサービスで消費ポイントを一時的に少なくしたり、消費ポイントは増えるが景品が取りやすくなるキャンペーンを投入したりしている。
このようなプレー方法の多様化を実店舗でも取り入れていきたいという。「限定の景品、専用機械、運営と、オンラインクレーンゲームには実店舗で培ったノウハウのすべてが詰まっている。総合的に事業を行うわれわれの強みを生かすことができた」(岩木社長)。
拡大するプライズゲームとは対照的に、アーケードゲームは音楽ゲームなど一部のジャンルを除き縮小傾向だ。とくにオンラインコンテンツの普及の影響は無視できない。一方で代わりに台頭しつつあるのが、リアルならではの体験ができるエンターテインメントだ。
例えば2022年5月にオープンしたGiGO 池袋3号館の7階にある「fanfancy+ in GiGO」は、「推しとのデート」をコンセプトにした店舗だ。そこではアクリルフレームなど自分の“推し”を彩るグッズを販売するほか、カフェスペースもあり、推しとの写真撮影もできる。
別フロアにあるプライズゲームでぬいぐるみを獲得し、推し活ショップでそれを彩るグッズを買うなどといったシナジーもあり、売り上げは好調という。2023年7月には、原宿の竹下通りに2店舗目となる推し活専門ショップをオープンした。
二宮社長は「ゲームセンターを増やすと同時に、従来とは異なる業態も併設して増やしていく。そこから切り出して、新業態だけ出店するような事例も十分あり得る」と意気込む。
タイトーが新宿南口の店舗などで運営している「くらやみ遊園地」は、謎解きやサウンドホラーなどが楽しめる。プレイ時間は15~25分、料金は1000~1500円と、気軽に遊べるのが特徴だ。
こちらも「くらやみ遊園地」に寄った後や待ち時間にプライズゲームで遊ぶなどといったシナジーが大きく、これまでゲームセンターに来店しなかったような新たな顧客層の開拓につながっているという。
「しっかりユーザーがついているアミューズメントはそのまま突き進んでいけばいいと思うが、なかなか対応できないところは進化する必要がある。今後はより先にあるユーザーのニーズをつかんで変化しなければならない」(岩木社長)
コロナ禍を経て、意外な奮闘をみせるアミューズメント業界。リアルならではの遊びの場は、形を変えながら進化していきそうだ。