今回は、やる気が上がる「口ぐせ」について、脳の視点から考えてみましょう。
皆さんは「きっとできる!」という口ぐせと、「ま、いいか」という口ぐせ。どちらのほうがやる気が上がると思いますか? 「きっとできる」のような自分へのポジティブな声かけは、基本的にやる気を高めます。ただし、逆効果になるケースもあります。
それは「きっとできる!」と口にして行動した結果、手痛い失敗をしたことが過去にある場合です。すると「きっとできる!」が、「あのときはうまくできなかった」という記憶を呼び起こすスイッチになってしまい、やる気が下がってしまうのです。
思い当たる過去がある人は、失敗の原因を分析して「次こそはできる」と思える状況をつくってみてください。
いい結果を期待できる状況で、今度こそ「きっとできる!」を使うのです。期待通りの結果が出れば、その後は「きっとできる!」はポジティブな行動を後押しするキーワードになるはずです。
もう1つの選択肢である「ま、いいか」は、気持ちを切り替えるときのスイッチとなる言葉です。うまくいかないことが起きたときに、それをネガティブに受け止めてしまう前に、「ま、いいか」とつぶやくのです。
自分ではどうにもならないことについて、くよくよ悩んでいても精神衛生上よくありません。だったら「ま、いいか」といったん事実を受け入れてみるのです。
このとき、できれば声に出して言ってみてください。すると、モヤモヤした気持ちに対してひと区切りがつくはずです。
皆さんは毎日のように、「疲れたな」「しんどいな」と言っていませんか? 夜帰宅して靴を脱ぎながら「あー、疲れた」。朝起きぬけに思わず「しんどいな」……。
無意識のうちに言っているかもしれませんが、こういう場合は心身のどこかによくない状況が起きていて、それが言葉として表出していることがありますから、意識して自分自身の行動をふり返ることをお勧めします。
「なぜ私は毎日のように、疲れた、と言うのだろう?」
「しんどいって、何がしんどいのだろう?」
鏡を見ながら、自分に向かって問いかけてみてください。そして、肉体的に疲れているならば休養を、精神的にしんどいのならば原因を探って、それを取り除くような行動を起こしましょう。
無意識のうちにこぼれ出るネガティブな言葉は、その原因を意識的に振り返ってほしいという脳からのサインです。
そんなふうに捉えて、次の行動につなげていくことが大切です。
一方、意識して「今日は本当に疲れた」とか「マジでしんどいな」とぼやくのは、気持ちを切り替えるうえでは役に立ちます。感情を吐き出すことで、すっきりすることもあるからです。
ただし、口にする前に、周りに人がいないことを確認するようにしてください。周囲の人がその言葉を聞くと、あなたのネガティブな感情に巻き込まれてしまうからです。
あなたがチームリーダーの場合、メンバーのやる気を下げてしまう可能性もあるので、注意が必要です。