そして、会った瞬間から相手と共感のキャッチボールが始まるよう会話します。このように初対面を準備できれば、最初の雑談がとても有効になってお互いにポジティブな関係になれるでしょう。
雑談における留意点がさらに4つあります。
1つ目は、相手を受け容れ続ける、共感しているというサインを送り続けることです。このサインは、言葉だけではなく、目線、表情、声のトーン、姿勢・身振り・手振りなどの全身運動、ボディランゲージまでを含みます。
じつは、ボディランゲージのほうがより重要です。このサインの出し方については、自分自身のボディランゲージを動画に撮って客観視してみる、あるいは、親しい友人や家族に、あなたのボディランゲージについてどう感じたのか聞いてみるといいでしょう。いろいろなバリエーションを試して、自分自身のスタイルを磨いていってください。
2つ目は、「同意はせずとも受け容れる」です。当然ですが、相手が自分とは違う意見を持っていることは当たり前にあり得ます。
また、ヒトが話すことには二面性・パラドックスをはらんでいることもあります。必ずしも本心が言葉として発せられるわけではなく、むしろ、本心とは反対のことが語られることも多々あります。ヒトとはそういうものだと、ややシニカルですが、割り切って受け容れましょう。
自分とは意見が違うな、あるいは、相手の二面生・パラドックスの矛盾に気づいたとしても、決して、その場で反論したり、矛盾を突いたりするようなことはせず、一旦、淡々と受け容れて、雑談の目的達成に努めます。
この時、「同意はせずとも受け容れる」という心の準備が求められます。「同意はせずとも受け容れる」は、さまざまなコミュニケーションの場面に活かせる黄金律です。ぜひ、この機会に覚えておいてください。
3つ目は、特に、雑談においては、ピラミッドストラクチャーで考えて思考の整理をするのは有効ですが、コミュニケーションスタイルとしては、ピラミッドストラクチャーは使わない、ということです。
コミュニケーション法としては、それぞれの場面の目的と相手のステークホルダー視点に応じて多様なパターンから有効なものを選択して工夫します。
コミュニケーションスタイルとしてピラミッドストラクチャーが有効となる場面は、むしろ、ビジネスシーンなどの特定の場面に限られます。
4つ目は、聞き役+受け容れに徹することです。
雑談は、ただ話すことが目的ではありません。「ただ話したい」という一時の欲求から自分中心で話しすぎるとすれ違ってしまい、かえって相手との距離感も離れてしまいます。話し好きな性格のヒトは特に要注意です。巧みな相づち表現と質問を意識的に多用して、聞き役+受け容れに徹しましょう。
雑談においても必ず背後に明確な目的があります。この目的を明確に意識して、相手のステークホルダー視点に立って会話を組み立てる思考は「ロジカルシンキング」です。
さらに、雑談の内容や展開、さらに、コミュニケーションスタイルの工夫においては、感情的なファクターも含めて雑談の目的が達成されるよう「ロジカルシンキング」します。
ここまでをまとめると、
①自分と相手、それぞれの目的を認識して目的達成する
②共感のサイン(ボディランゲージ)を送り続ける
③同意はせずとも受け容れる
④コミュニケーションスキル≠ピラミッドストラクチャー
⑤聞き役+受け容れ>自分の主張
以上の5ステップが「雑談力の型」となります。雑談が苦手だという人は、ぜひ覚えて活用してください。