「自分はもっと評価されるべき」嘆く人の重大盲点

顧客や取引先の欲求を満たすことができれば、顧客は満足し、それが営業の成果や業績にも現れます。また、上司や会社が評価対象にしている行動をとれる人は、ちゃんと評価されて認めてもらえることでしょう。そこの認識がずれている限り、人事評価はずっと変わらないと思います。

まずは他人の仕事を観察してみる

もし自己承認欲求が強いと感じる、あるいは真剣に評価を上げる取り組みをしたいなら、まずは同じ社内で出世している人がどんなふうに仕事をしているかを観察してください。そして人の話をもっと聞いてみましょう。

周りや上司に相談してみるのはどうでしょう? その際は「どうすればもっとうまくいくと思いますか?」というように、アドバイスを求める感じで確認するのがいいと思います。「なぜ私は評価されないんですか?」と、自分の言いたいことや主張を押し付けてしまうと、せっかくの相談も、「面倒な奴だ」とマイナス印象になってしまうからです。

納得がいかない評価をされれば腹が立つし、ショックを受けたりもしますが、落ち着いて冷静に周りを観察して、会社や上司がどんな行動を評価対象にしているかを見つけてみてください。自己承認欲求が高い人は、進んで周りとの交流を取ることができたり、目標を高く設定して努力を続けることができたりと、メリットも多いのです。

うまくコントロールできれば、仕事の場ではとても強い武器にできると思います。他人の評価や言葉を受け入れ、誠実に謙虚に行動に反映していけば、人事評価も変わっていくと思います。

学生時代の評価基準を引きずっていない?

自己評価と他者評価
(漫画:筆者作成)

上司からの「人事評価」を素直に受け止められない人は、前項の自己承認欲求や他者承認欲求の話でも書きましたが、「自己評価」と「他者評価」にズレがあるからかもしれません。仕事の評価は「他者評価」が絶対であると認められなかったり、自分の価値を高く見積もりすぎたりしている可能性があります。

自己評価が高すぎると、認めてもらえない理由を自分ではなく、他人や他の原因のせいにして、「自分は正しい」という思い込みからなかなか抜け出せません。結果、上司には謙虚さや素直さがないと思われ、自分も相手の評価を素直に受け止められず、残念な結果となります。

もし悩んでいるのが新人なら、学生時代の評価基準を引きずったままという可能性もあります。学生時代の部活や成績には、ある程度の評価基準やルールがありますが、社会人のビジネスにおいては共通ルールや共通の正解がありません。その違いを意識するだけでも、だいぶ受け入れられるものは増えると思います。

また、自分の知識に自信がありすぎて、相手の評価を受け入れられない人もいます。でも、知識と能力は違います。知っていても実際に使えないなら仕事の場では役に立ちません。評価されていないということは、その職場で持っている知識を能力として使いこなせていないのです。

まずは、自己評価が正しくて他者評価が間違っているという感覚を変えないと、この溝はいつまでも埋まりません。

SNSやプライベートなら「他人の評価は気にしない」「自分を肯定することが大事」でいいのですが、仕事で業績を上げたいなら、他人の評価は絶対なのです。満足いく評価を受けるためには、会社や上司の評価基準を受け入れて、「これは仕事だ」と割り切ることも必要なのです。

無理な要望を聞けという意味ではない

最近は評価に納得できず、転職を繰り返したり、自立を考えたりする人もいますが、「仕事=他人の評価が絶対」という気持ちを忘れると、まずうまくいきません。アーティストなど、尖っていることや個性が売りの人でも、よほどの天才でない限り認めてもらうことは難しいでしょう。

間違っていることでも受け入れろとか、無理な要望でも言うことを聞けという意味ではありません。そういうものは毅然として跳ねのけていいと思います。ただ、会社員でもフリーランスでも起業した人でも、自己評価がすべてではなく、クライアントや顧客など相手の評価も受け入れることが大切だと意識するだけで、今までと状況は変わってくると思います。