なぜ?ポケモンが「睡眠アプリに参入」の3つの狙い

スマホで記録した睡眠データを使ってポケモン育成

注目を集めていたスマートフォン向けアプリ『Pokémon Sleep』が2023年7月20日から配信が始まった。本作は、ポケモンたちが登場する睡眠ゲームアプリ。睡眠時、枕元にスマートフォンを置くことで睡眠トラッキングを行うことができ、睡眠データを記録できるほか、ポケモンたちの育成などが楽しめる。

実は本作、発表されたのは2019年5月のことである。発表から配信までかなり時間が経過していたものの、それでも中止にならずこうしてリリースされた。かなり時間をかけて配信された『Pokémon Sleep』には、さまざまな「目的」があると考えられる。

『Pokémon Sleep』のゲーム内容について説明しよう。

本作は寝るときにスマートフォン(もしくは別売りの「Pokémon GO Plus +」)を枕元に置くことで、加速度センサーとマイクで睡眠時間・質を測定するという。

結果によって睡眠スコアが発表されるほか、ポケモンにたとえた睡眠タイプも示される。また、ポケモンに関連した睡眠導入BGMや、眠りが浅い状態で起こしてくれるスマートアラームも搭載されている。

そして、計測後にゲームらしくなってくる。日中はプレイヤーと似た睡眠パターンを持つポケモンたちが集まってくるため、そのポケモンたちの寝顔を調査して「寝顔図鑑」に記録できる。この図鑑を埋めるのが大きな目標となっている。

睡眠スコアが高いほど、カビゴンがよく育つ

また、眠ってばかりのポケモン「カビゴン」を育成する要素も存在する。睡眠スコアが高ければ高いほど、カビゴンに与えるエナジーが大きくなり、よりよく育っていくわけだ。なお、フレンドとの交流要素も用意されている。

要するに、眠れば眠るほどポケモンが集まって収集・育成が楽しめる。シンプルながらも、よりよく寝ようとプレイヤーに思わせる仕組みになっているわけだ。

すでに、ポケモンと楽しく歯みがきを習慣化するゲームアプリ『ポケモンスマイル』が出ているように、株式会社ポケモンは生活と密着した取り組みを行っている。

こういったゲームを出すことには非常に大きなメリットが存在する。

1つ目は「ゲーミフィケーション」だ。これは生活や仕事の動作をゲーム化しておもしろくするというものである。

映画『メリー・ポピンズ』の「A Spoonful of Sugar」のように、仕事や雑事をゲームとして捉えられれば楽しく行えるし、効率もよくなる。面倒に思いながらしぶしぶやるよりも何倍もいいだろう。

2つ目は、睡眠時間が増えること自体の価値だ。当然ながら、睡眠は健康に大きく関わってくる。健康状態の維持は個人の幸福にも国の活力にも繋がるわけで、きちんと眠ったほうがいいに決まっている。そのためには睡眠を記録することが重要になるわけだ。

そしてもちろん、こういった生活に密接したゲームを出すことで、人々がポケモンに親しみを持つ可能性が増える。つまり、ポケモンというIP(知的財産)そのものの認知度を増す効果が3つ目のメリットとなる。